「何時になってもいいから、
着いたら電話して!!」
上司との話が終わったあと、
すぐさま智くんにメールした。
ええっと、
東京とニューヨークの時差は14時間?
サマータイムなら13時間?
電話してって入れたけど、
難しいかな?有給はおしまいって言ってたし。
メールにしとく?
いややっぱり電話だ。
直接文句が言いたい!
だってあと3ヶ月もお預けなんでしょ?
せめて声聞かせてよ。
智くんからの電話は多分深夜だろう。
悶々としながら仕事をする。
分かっていても、
スマホが震えるたびに智くんかと思って、
表示された名前を見て落胆する。
いや、出るけどね。
大事な仕事の電話だから。
けど、欲しい電話はこれじゃない!!
智くん、まだ空の上?
早く地上に降りて〜〜〜
昨日後回しにした仕事もあって、
家に帰ったのは23時過ぎ。
智くんからの連絡はまだない。
とりあえずシャワーだな。
そのあとは色々調べ物。
わからないとこは智くんに聞くにしても、
自分でも調べておかないと。
シャワーの後、
PCを開く。
・・・マジか。
俺なんも知らなかった。
こんなに大変なんだ。
当たり前だよな。
日本のどこかに転勤するんじゃない。
海外・・・だもんな、NY
・・・智くんも内示をもらったんだよな。
あの日の3ヶ月前にってこと?
俺、智くんと一緒に仕事してたのに、
俺が1番近くにいたのに、
その3ヶ月、何も気がつかなかった。
しばらくすると、
スマホが震えた。
『翔くん、まだ起きてる?』
来た!
智くんからメールだ!
すぐに電話する。
『もしもし?翔くん?
ごめんね、遅くなって』
「聞いてないんですけど!!」
『は?どうした?急に?』
「俺がそっちに行くの3ヶ月後じゃんか!!
それまでお預け?あんた鬼か??」
『ああ、内示?
おいらもそうだったよ。
けど準備や引き継ぎであっという間だったから』
「・・・・・」
知ってたのかよ。
まあそりゃそうだよな。
智くん行ってるんだし。
智くんは・・・
『翔くん?』
「・・・智くんは、俺と3ヶ月も離れてても平気なんだね」
俺は無理。
今までは大丈夫だった。
もう会えないと思っていたから。
でも今は無理。
智くんの気持ちを知ってしまったから。
智くんの唇を知ってしまったから。
『・・・あと3ヶ月でしょ?』
「へ?」
『あと3ヶ月したら、ずっと一緒。
ならおいらは待てるよ。
今までどんだけ想ってたと思ってるの?』
「・・・智くん?」
『だから覚悟しててね。
こっちに来たら、離してやらないからな』