「んっ・・・あ、あれ?」

 

 

朝起きると、

翔くんの姿はなかった。

 

 

ベットサイドに、

置き手紙と部屋の鍵が置いてあった。

 

 

『急に取材が入ったから、

先に出ます。鍵置いていくね。

また収録の時に。

 

・・・愛してるよ、智くん』

 

 

・・・くすぐったいんだけど?

翔くんっていつもこんなことしてるのかな?

 

 

んふふ、

こんなに幸せでいいのかな?

 

 

まだ翔くんの香りとぬくもりが残ってる。

おいらは、もう少し翔くんに包まれて眠ることにした。

 

 

 

 

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

 

 

「・・・じっと左手見つめてどうしたんですか?」

 

 

「へ?」

 

 

おいらが楽屋に入ると、

ニノがいつもの席でゲームをしてた。

おいらも定位置に寝転んでいた。

 

 

ゲームに集中してるとばかり思っていたら、

画面を見たままのニノに声をかけられた。

 

 

はっ、しまった。

無意識に・・・

 

 

慌てて左手を隠す。

 

 

「指輪でも買いに行こうとか言われたとか?」

 

 

「えっ!!」

 

 

なんでわかるの?

ニノはやっぱりエスパーか?

 

 

おいらの反応を見て、

ニノが舌打ちした。

 

 

「・・・なんだよ。図星かよ。

で、左手見つめてんの?いい年したおっさんが?」

 

 

「お・・・おにいさんな」

 

 

一応小さい声で反論してみる。

 

 

「は?何か言いましたか?」

 

 

倍の音量の声で返事が返ってきた。

 

 

「・・・いえ」

 

 

「で?」

 

 

「え?」

 

 

「指輪買って一緒に住もうとか言われた?」

 

 

「え?!

なんで知ってるの?見てたの?」

 

 

「そんなの見たくもないわ!!」

 

 

キーン

 

 

ああ・・・まただ。

耳が痛い。

 

 

そして、視線がこ、こわい。

なんで睨んでるの?

なんか怒らせた?

 

 

「・・・それで?幸せですか?今?」

 

 

「え?」

 

 

「幸せか?と聞いてるんです。

答えてください」

 

 

「・・・幸せだよ、すごく」

 

 

ニノがほんの一瞬だけ微笑んで、

ふんと無表情にもどり、

すぐゲーム画面を見た。

 

 

「・・・ならいいです」

 

 

「ニノ!」

 

 

「ハグはいりません。

するならキスで!」

 

 

「だからそれはもう無理だってば!」

 

 

「いいでしょ?

減るもんじゃないし!」

 

 

その時、楽屋のドアが開いて、

相葉ちゃんと松潤が入ってきた。

 

 

「え?・・・もしかして入っちゃまずかった?

浮気・・・現場に突入??どうしよう、松潤!!」

 

 

「・・・翔さんには内緒ですよ。お二人とも」

 

 

「ちがっ!ニノ何言ってるの!!

違うからね!2人とも!おいら浮気なんて・・・」

 

 

「智くん!!!

一体どういうこと〜〜〜〜〜!!!!!」

 

 

「え?」

 

 

そのあとすぐに翔くんが鬼の形相で、

楽屋に入ってきた。

 

 

「なんでまだ解除されてないの??」「ちがっ、翔くん、おいら浮気なんて・・・」

 

 

「は?」「え?」

 

 

え?

翔くん今なんて言った?

 

 

「は?浮気って何?

智くん一体どういうこと?」

 

 

「いや・・・その前に、

翔くん今なんて言って入ってきたの?」

 

 

ハッとした翔くんが、

おいらの顔の前にスマホを印籠のようにかざす。

 

 

ん?

表示されてるのは、おいらの名前?

で、聞こえてくるのは・・・

 

 

『おかけになった電話番号は、お客様のご希望によりお繋ぎできません』

 

 

「あっ・・・」

 

 

しまった、忘れてた。