「はい、確かに。
これで手続きは終了です。
こちらがお部屋の鍵になります」


「はい。ありがとうございます!!」


やった!
やっとこれで!!
やったね、智くん!


・・・って、え?
あれ?智くんどこいった?


幸せをかみしめてたら、
智くんが店から出て行ってしまっていた。
慌てて追いかける。


「智くん待って!なんで置いてくの?」


「・・・だって翔くん恥ずかしい」


「へ?どこが?」


「全部!!まず顔が恥ずかしい」


「は?これでも俺、イケメン担当だよ?」


「・・・鏡見てみなよ。
デレドロにしてる」


「そりゃデレドロにもなるよ。
やっと手に入れたんだよ!
智くんと俺の愛の巣の鍵を!!」


「だから恥ずかしいってば!
愛の巣とか言うな!」


「智くん照れるなよ〜」


「照れてないし!!
もう、今度は家具屋さんに行くんじゃなかったの?
置いてくよ!」


「置いてくって、運転手置いてどうやっていくつもり?」


「電車で行ったほうが早そうなんだもん。
だって駅近でしょ?」


そうだけども。
今日はドライブデートも兼ねているんだから。


せっかくの2人一緒の休みなんだよ。
同じ日に、しかも智くんの誕生日に合わせるの、
結構大変だったんだよ。
関係各所に手を回してさ。


智くんと仕事でなく、
完全オフで1日一緒っていつぶり?


なもんだから、
そりゃ色々詰め込めさせていただきますよ。


そんな俺の思いを知らず、
1人で歩いていこうとする智くんの手を掴み、
駐車場へ引っ張ってく。


「こっちです」


「・・・むぅ」


「むぅじゃないでしょ!
そんな顔してるとキスするぞ!」


智くんを引っ張って、
顔を近づける。


「ばっ、ばかか!!」


「バカで結構!
自覚してますから」


「・・・自覚してんの?」


「さあ、時間がもったいない!
行きますよ〜〜」


「とろとろしてたの翔くんじゃん」


「何か言った?」


「・・・むぅ」


もうまた口尖らせて
・・・あっ、そういうこと?


なんだキスして欲しかったのか。
それなら遠慮なく・・


「わ!しやがる!ばか!前向いて歩け!!」


バシッと顔を叩かれた。


いたい。
なんだキスじゃないの?
残念。


そうこうしてると駐車場に着いた。
智くんを助手席にエスコートする。


運転席に乗って、
エンジンをかける。


「・・・ようやく決まったね」


「うん。これで毎晩智くんと・・・/////」


「ばか!早く家具屋に連れてけ」


「むぅ」


「むぅじゃないし」


「キス待ってるんですけど?」


「するか!!」


「・・・けち」


以前決めてたマンションは、
お互いの仕事が忙しくて、結局契約できずにじまい終わった。


で、条件に合うものをずっと探してて、
やっと出てきた優良物件。
これを逃すと、いつ一緒に住めるかわからない。


この物件、
全室防音じゃないのが残念だけど、
それ以外は条件通り。


2人で住むには申し分ない広さ。
広いキッチンにお風呂。
セキュリティもちゃんとしてる。


周辺の地図も把握済み。
マンションの近くに大きなスーパーもあるし。
美味しそうなケーキ屋さんも近いし、
智くんの好きそうなパン屋さんだってある。


今日のお出かけは、
今後の2人の生活に必要な事柄ばかり。
だからどうしても一緒に行きたかったんだ。


昨晩の究極の選択。


目の前の智くんと、
これからの2人の生活。


本当に俺、よく頑張ったな。昨日。


『はあん・・・しょおくん、もっと・・・』


目の前の魅惑的な智くんの誘惑に打ちかつべく
心を鬼にしてたった一回と決め、
その一回をより濃厚にして、
智くんの全てを堪能して、
今日を迎えた。


おかげで
愛の巣の契約終了!


さあて次は・・・