・・・ん?


いつもより背中が温かくて目が覚めた。
耳元に誰かの吐息を感じて、
振り返る。


え?しょ、翔くん?


あ、そうか。
昨日あのまま・・・


おいら、後ろから翔くんに抱かれたまま、
翔くんの腕の中で、
寝てたんだ。


翔くんを起こさないように、
身体を反転させる。


うっわ、おいら夢見てるのかな?
翔くんと同じベットで朝を迎えるなんて。


こんなこと絶対ないって思ってた。
けど、今、おいらの目の前には翔くんがいる。


ふふ、翔くんってやっぱりイケメンだな~。
寝顔なんてなんども見たことあるけど、
こんなに近くで見るのは初めて。


ぷっくりした翔くんの唇。
この唇が昨日、おいらの身体に・・・


翔くんの唇を触ろうとして、
手を伸ばした。


すると、その手を掴まれ、
ちゅっと口づけされた。


「え?」


「・・・おはよ、智くん」


「お、起きてたの?」


「ん?今起きた」


寝起きの翔くんの声。
なんか嬉しい。


そう思ってたら、
ぎゅっと抱きしめられた。


そこでやっと気がついた。
おいら達なにも着てないじゃんか!


うわっ・・・
急に恥ずかしくなってきた。


おいらのそんなドキドキをよそに、
翔くんがイケめた声で聞いてきた。


「・・・どう?」


「・・・え?」


ど、どうって?
何か?


「智くんと俺、
同じに匂いになってる?」


そ、そんなこと・・・


「・・・わかんない」


「ふふ、わかんないってことは同じ匂いってことだね」


翔くんがおいらのことを見つめたまま、
そう言って、おでこにキスされる。


「しょ、しょおく・・・」


おいらが翔くんの名前を呼ぶと同時に、
翔くんのスマホが震えだした。


電話に出る翔くん。
おいらはその隙にパンツを探す。


「え?もうそんな時間??
わかったすぐいく」


寝てた翔くんが飛び起きた。
何事??


「智くんやばい!
もう迎えの時間!下にマネージャー来てるって」


「え?マジで?
あ、シャワー、シャワー浴びないと。
翔くん先にする?」


おいらは慌てて立ち上がった。
すると翔くんに腕を掴まれ、
ベットに引き倒される。


「うっわ・・・何する・・んんっ!」


翔くんが今度は唇にキスをしてきた。
そのまま舌も。
朝からこんなキス・・・


「・・・おはようのキス、まだだったね。
シャワーはいいよ。時間ないし、
せっかくの智くんの匂いが消えちゃう」


おいらから唇は離した翔くんが、
ニヤッと笑いおいらの首筋に吸い付いてきた。


ハッと気がついて、
翔くんの身体を押しのける。


「だめ!
みんなにバレちゃう」


「・・・残念。
俺のもんだっていうシルシ、
つけたかったのにな~」


「・・・ばか!
もう時間ないんでしょ!」


「ああ、そうでした」


おいら達はシャワーも浴びず身支度を済ませ、
急いでマネージャーの待つ車に急いだ。


「おはようございます、あれ?
松本さんはいないんですか?」


「ん、ああ、昨日帰ったんだ」


「飲みすぎてないでしょうね?
・・・で、
やっぱうまいんですか?
幻の焼酎って?」


「へ?」


幻の焼酎?
一体何のこと?
隣に座ってる翔くんの顔を見る。


すろと翔くんがしっと口の前で指を立て、
にっこり笑う。


「ふふ、うまかったよ。
飲ませてあげたいけど、
全部飲んじゃった。また機会があれば。
ね。智くん」


翔くんがおいらの手を握ってきた。
びっくりして声が上ずってしまう。


「え?!ああ・・・う、うん」


ちょ、翔くん何してるの?
マネージャーに見つかっちゃう。


「ちょっと眠いから寝ていい?
着いたら起こして」


翔くんはそう言うと、
手をつないだまま、
おいらの身体を預けてきた。


「え?ちょ・・・」


「ふふ、本当に仲いいですよね。
やっぱりずっと一緒にいるからですかね?」


「へ?う、うん。そ、そうかな」


マネージャーにはバレてないみたい。
ホッとしたけど、この状況は・・・


知らなかった。
翔くんてこんなこと平気で出来ちゃうんだ。
やっぱり、慣れてる。


そんなことを思ってたら、
耳を引っ張られた。


「・・・智くんにしかしないからね」


そのままちゅって耳にキスされた。


「んあっ!」


「どうしました?!大野さん」


マネージャーの声にビクンとした。


「な、なんでもない!」


翔くんがクスクス笑ってる。
もう、絶対慣れてる!!
翔くんのばか!


おいらはドキドキしたまま
仕事場に向かった。