松潤に連れて行ってもらったお店は、
やっぱりおしゃれで、けど、本当に美味しくて、
いつも以上に食べてしまった。


おいらのおごりって言ってたくせに、
結局出させてもらえず、
またご馳走になってしまった。


そして今、家に送ってもらってる。
こんなにしてもらっていいのかな?
だって、おいらさっき松潤を・・・


けど松潤はもういつも通り。
松潤が気にしてないのに、
おいらが気にしたらダメだよね。


マンションの前に車を止めてもらって、
降りようとしたら、松潤に腕を掴まれた、


「ねえ?大野さんの部屋って、
翔さんあがったことある?」


「え?しょ、翔くん?
来るわけないじゃん!ないよ!」


いきなり何言ってんの?
翔くんがおいらの家に来るわけ・・・ないじゃんか。


「・・・俺が入りたいって言ったら?」


「え・・・?」


松潤がおいらの家に?
なんで入りたいの?
変わったものなんて何もないぞ。


けど、ここまで送ってもらったし、
断る理由もない。


「じゃあ、ちょっとだけだぞ。
松潤も明日早いんだろ?」


そう言うと松潤はそごく嬉しそうに笑った。
松潤の車を駐車場に停め直し、
おいらの部屋に向かった。


エレベーターに乗り込むと、
松潤がおいらに断りを入れて、
メールをする。


変な松潤。
なんでわざわざおいらに言うんだろう。


「・・・ここ。
散らかってるけど・・・」


メンバーを家に入れるのは、
初めてで、なんかすごく気恥ずかしい。


「ちらかってないじゃん。
俺の部屋の方がひどいよ」


きょろきょろ物色しながら、
部屋の中に進んでく松潤。


何か出したほうがいいよね。
車で来てるから、お酒はだめだな。


松潤に聞いて、
コーヒーを淹れてたら、
松潤が今描いている途中の絵に近づいてく。


「あ!これ・・・今描いてる絵?」


「うわっ、見るなよ。まだ途中・・・
なんかうまくいかなくて、止まっちゃってるやつだから」


コーヒーカップを掴んで、
慌てて絵の前に立つ。
そして、松潤用のコーヒーを差し出した。


「・・・ありがと。
ねえ、これ、すでにすごいんだけど、
どこがダメなの?」


・・・どこって、
説明するのは難しい。
強いて言えば色・・・かな?
ぐっとはまる色が作れなくて。


完成してるっちゃしてるんだけど、
もうちょっと色を足したいって思ってるから。
ん~、何を足せばいいのかな?


うっかり絵に集中してると、
松潤がおいらの顔を覗き込んでいた。


「ねえ?絵が描いてるとこ見たいんだけど?」


はい?


「は?やだ!恥ずかしい」


恥ずかしいだろ、普通。
なのに松潤はケチ、減るもんじゃないしっ口を尖がらせてる。


ケチじゃないし、
それに何かが減る気がする。


ピンポーン


松潤とそんな話をしていたら、
部屋のインターホンがなった。


「ん?あれ?
こんな時間に誰だろ?」


ピンポーンピンポーンピンポーン


ええ?何?
一体誰だ、連打って・・・


コーヒーカップをテーブルに置き、
モニターを確認する。
そこに写っていたのは・・・


「・・・え?
な、なんで?」


え?
なんで?
なんで、ここに、いるの?