やっぱり今日の松潤は変だ。
休憩を挟んでも、それは変わらなくて。


おいらよりも振りを覚えてるのに、
おいらにわざわざ聞いてくるし。
それになんか・・・・


「・・・ねえ、松潤。
今日やっぱり変だよ?
なんか距離感おかしくない?」


いつも以上に松潤が近くて、
ちょっと・・・ドキドキするんだけど?


それが松潤にバレないように、
ワザとおどけてみせた。


「もう、そんな見張ってなくてもさぼんないし」


すると意外な言葉が返ってきた。


「・・・見張ってるわけないでしょ?
何でそばにいるかわからないの?」


え?
それってどういう・・・


すると松潤の顔が近づいてきて・・・
慌てて押し戻したら、
泣きそうな顔になった。


「・・・俺はそばに寄ったら、迷惑?」


え?
今・・・なんて言った?


けど、すぐにいつもの顔に戻って、
純粋にフリの確認してるだけって、
迷惑なら他の人に聞くって言う松潤を、
思わず引き止めた。


「・・・じゃあ、そばにいてもいいよね」


引き止めたおいらに安心したように、
ふふっと笑う松潤。


・・・そばにいてもいいよね。
・・・そばに・・・いる・・・?


おいらがそばにいたいのは、
おいらがそばにいてほしいのは・・・


・・・松潤じゃなくて・・・


「・・・この前の話だけど、
本当に翔さんに気持ち伝えないの?」


え?翔くん?
ええ?!
今おいらが翔くんのこと見てたのバレた?


「え?うっわ!!ばか!
こんなとこで何言い出すんの!」


松潤の口を慌てて両手で塞ぐ。


「翔くんに聞こえたらどうすんの!
松潤のバカ!」


翔くんにバレたら・・・
できるだけ小さな声で松潤に抗議する。


松潤がおいらの両手を掴んで、
そっと耳元で囁いてきた。


「ねえ、翔さんの気持ち知りたくない?
大野さんの言うように、本当に男はダメなのかって」


・・・え?
翔くんの気持ち・・・?


俺にいい作戦があるんだけどって言って、
俺のこと名前で呼んでって笑う松潤。


「じゅ・・・じゅん・・・じゅんくん」


「くんはいらない」


そ、そんな!
だっていつも松潤て呼んでるのに、
急に潤なんて・・・恥ずかしくて呼べない。


「翔さんの気持ちの気持ち知りたくないの?」


松潤を潤って呼んで、
何で翔くんの気持ちが分かるの?


しかも翔くんがこっちを見てるって、
見てないじゃんか!


そしたら、一緒に帰ろうと言い出し、
ついでにご飯に行こうって。
どさくさに紛れて、松潤がおいらのこと智って呼んでるし。


おいらには何が何だか・・・


よくわからないうちに振り付けが終わった。
ニノと相葉ちゃんに誘われ、
先にシャワーを浴びに行く。


どうしよう。
本当に一緒に帰るのかな?
一緒にご飯行くのかな?


楽屋に戻り、
着替えが終わってソファーに腰掛ける。
相葉ちゃんは慌ただしく次の現場に向かった。


「あれ、大野さん帰らないんですか?」


着替え終わったニノに声をかけられた。


「え?・・・う~ん、
なんか、松潤に飯誘われてて・・・」


「・・・ふ~ん。
じゃあ、お気をつけて・・・
あ、この前私が言ったこと覚えてますか?」


「え?」


にっこりニノが笑う。


「・・・お疲れ様でした。
お先失礼します」


ニノはそう言って、
楽屋を出て行った。