マネージャーの車を降り、
楽屋に向かう。
今日は新曲の振り付け、
5人での仕事だ。


松潤と一緒にご飯に行ったあの夜から、
松潤とは会ってない。
なんとなく気まずいなっと感じてた。


けど、それよりも、
昨日ニノに言われたことがずっと頭から離れなかった。


『自分の気持ちに嘘つかないこと。
そして、後悔しないこと』


・・・後悔か


翔くんに気持ちを伝えないって決めた。
・・・いつかそれを後悔する日が来るのかな?


本当は伝えたい。
翔くんのことが好きだって。


けど、男のおいらがこんなこと言ったら、
翔くんはきっと・・・


おいらの気持ちは
翔くんを煩わせちゃうだけ。


翔くんには幸せになってほしい。
この気持ちに嘘はない。


うん、
そうだ。


おいらは翔くんの笑ってる顔が見たいんだ。
笑っててくれればそれでいい。
翔くんの隣にいるのがおいらじゃなくても・・・


ちゃんとわかってるから、
好きでいさせて、
君のそばに居させて・・・


けど、翔くんの隣の誰かを見て、
おいらは平然としていられるんだろうか。
その人と笑ってる翔くんを見ておいらは・・・


・・・本当に伝えなくていい?


言わないって決めたのに、
気持ちが揺らぐ。


翔くんの隣・・・
もう誰かいるんだろうか?


『そんなに気になるんなら、
本人に聞いてみたらどうです?
それが聞ければ、
全部解決するんですけどね』


・・・・・


「そんなの、翔くんに聞けないよ・・・」


ふと顔を上げると、
見慣れた撫で肩が前を歩いてた。


「あ、翔くん、おはよ!
翔くんも今来たの?一緒にいこ」


おいらはできるだけ平常心を装って、
いつも通りを声をかけた。
すると翔くんが撮影は順調って聞いてきたから、


現場の雰囲気とか、
共演者のこと、監督のこととかを話した。


「へ~、そうなんだ」って
翔くんが聞いてくれるのが嬉しかった。


「あれとかするの?」って翔くんが聞いてきた。
あれって?って聞くと、
キスシーンとかのことだった。


おいらはドキドキしながら、
翔くんはどうしてる?って聞いた。


「えっと、仮にあったとして、キスはいつからするの?
リハから?本番のみ?
歯はいつ磨くの?」


「う~ん、どうだろう・・・
やっぱり本番だけ?かな?
歯磨きは直前かな。
何?あるんだ?」


「まだわかんない。
どうしよう・・・台本にその、壁ドンとか、あと顎クイ?だっけ?
があったら」


「そりゃあるんじゃないの?
だってラブコメだもん。ラブ要素もあるでしょ?」


「・・・やっぱあるかな?
おいら自信ないな~。
台本もらうのが怖い。
そういうのは松潤がすればいいんだよ」


「・・・・・」


「ん?翔くんどうしたの?」


「・・・したことないの?」


「・・・え?」