「・・・え?怒ってたんじゃないの?」


「怒るって俺が?なんで?」


「何でって、昨日おいらが会いに来ちゃダメって言ったから、
それで怒ってメールも電話もしてこなかったんでしょ?
それに今日だって・・・ずっと機嫌悪かったし」


さすがに玄関をあのままにできないから、
二人で綺麗に掃除してから、
お風呂に向かった。


すばやく全身を洗いっこして、
冷え切った体を温めるべく、
浴槽に入る。


いつもどおり、
翔くんに後ろから抱っこされて・・・


「・・・それは・・・、
だって貴方、松本に肩を抱かれて、
楽屋に入ってくるんだもん」


「・・・それは松潤が」


「俺、智くんに会いたくて、
楽屋で智くんのこと待ってたのに・・・。
その後だって急に楽屋出て行って、
松本と消えちゃうし、俺あの後追いかけたんだよ!」


「え?・・・追いかけた?あっ・・・!」


そういえば、あの時松潤が何かに気づいて、
おいらを楽屋に押し込んだな・・・
松潤は翔くんを見つけたんだ。


「収録中もさ、俺のこと無視して、
松本のそばから離れないし・・・」


「・・・・・」


「怒ってたっていうか嫉妬してた」


「・・・嫉妬?」


「そう嫉妬。・・・と焦り」


「・・・焦り?」


「松本に智くんを取られちゃうんじゃないかっていう焦り」


「ああ・・・だから松潤は・・・」


『俺に任せて!
翔さんが怒ってるのかそうでないのか、
俺があんたに見せてあげる』


わざと翔くんを煽ってたってとか。
それで、あんなことを。


「・・・?智くん?」


「・・・怒ってたんじゃなかったんだ。
ああ、よかった!おいら嫌われたのかと思ってた」


「何言ってんの?
俺が智くんを嫌うわけないでしょ?
そんなこと絶対ありえない!
さっきも言ったけど、貴方のこと誰にも渡さないし、
絶対に離さないよ」


翔くんがぎゅっと抱きしめてきた。
おいらはすっぽり翔くんに包まれた。
ああ、やっぱり落ち着く。


「・・・んふふ、うん」


「・・・智くんの方が、
俺に愛想尽かしたんじゃないの?」


「・・・え?」


翔くんの言葉に振り返った。
翔くんが真剣な瞳でおいらのことを見つめてる。


「俺に隠してることない?
ニノも相葉ちゃんも貴方が変だって気づいてた、
きっと松本も・・・
けど俺は、気付けなかった」


「・・・翔くん」


「気付けなかった俺が悪いんだけど、
なんで俺には言ってくれないの?
なんで泣くまで我慢するの?
ちゃんと話して。
・・・なんで泣いてたの?」


「泣いてって?・・・ええ?なんのこと?」


「おとといの晩、貴方寝ながら泣いてた・・・
『・・・しょおくん、
やだよ、おいていかないで・・・』
そう言いながら泣いてたんだ」


「・・・・・」


泣いてたなんて・・・
全く覚えてない。


「ねえ、・・・教えて。
なんで泣いてたの?
ねえ、昨日本当に絵を描いてたの?
俺と一緒にいたくなくて、アトリエの方に帰ったんじゃないの?」


翔くんが泣きそうな瞳をして、
おいらの顔を覗き込んでくる。


「ちがっ、昨日は本当に絵を描いてたよ。
で、しょおくんに会いたかった・・・」


「来ちゃダメって言ったのは智くんじゃん」


「・・・うん、だからおいらから会いたいって言えなくて・・・
しょおくんからもう一度連絡来るのを待ちながら、
絵を描いてた」


「え?・・・」


「ごめんね。おいらがあんなこと言ったせいなのに、
連絡をくれないことにショックを受けて、
勝手に落ち込んでたの・・・」


「・・・・・」


「こんなおいら嫌いになるでしょ?」


「・・・ばか、嫌いになるわけないでしょ!
本当俺らって馬鹿だね。
何やってたんだろ。お互い会いたいって思ってるのに」


今度は翔くんに正面から抱きしめられた。


「・・・うん。本当に馬鹿。
あの・・・さ、おいら、しょおくんに言いたいことがあるんだ。
聞いてくれる?」


「うん。聞くよ?
いや聞きたい!」


「ここではちょっと・・・
それにあげたいものもあるし、
おいらのうちに一緒に来て・・・」


「・・・え?」


おいらは翔くんの手をとって立ち上がった。


おいらの家に行って、
完成したあの絵を、
翔くんにプレゼントして、おいらの気持ち伝えよう。


みんながおいらの背中を押してくれた。
大切な人に、
思いを伝える大切さも教えてくれたから・・・・


ちゃんと伝えなきゃ。
他でもない、一番大切な君に・・・