はあ・・っ・・はあ・・っ・


なんでいないんだよ!
くそっ!
いったいどこいったんだ!


すぐに見つかると思ってた。
なのに、探しても探しても、
2人の姿を発見できない。


もちろんトイレも見てきた。
二人でどこに消えちゃったの?
相葉くんの言葉が頭をよぎる。
もしかして今頃・・・


んなわけない!
だって仕事はこれからだし。
でも、なんでいないんだ!


さすがに全部の楽屋を開けるわけには・・・


「うわっ!」


「あ、すみません!
ああっ!櫻井さん!なんっでこんなとこに?
衣装さんが探してましたよ。
急いで楽屋戻ってください」


角を曲がったとこで、
スタッフとぶつかりそうになった。
そのスタッフは、俺を見て安堵の表情を浮かべた。


「え?でも・・・」


「もう時間がありません」


「・・・わかりました、すぐ戻ります」


くっそ!
でも、しょうがない。


楽屋にもどり、
衣装を合わせ、メイクしてスタジオに入ると、
しばらくして、智くんと松本が戻ってきた。


今までどこに居たんだよ!


松本と楽しそうに笑う智くん。
なんだよ!その笑顔!
なんで俺に向けてくれないんだよ。


智くんに近づき、
腕を掴もうとしたその時、


「では、収録始めまーす。
みなさんよろしくお願いします」


スタッフさんの声が響き、
その声に気を取られてるうちに、
松本に智くんの横を取られた。


・・・・・


苛立つ気持ちを出すわけにいかず、
なんとか笑って収録を進める。


智くんと松本が気になって仕方ない。
俺、今、ちゃんと笑えてるだろうか?


こんなに近くにいるのに、
智くんがすごく遠い・・・


ちゃんと話がしたい。
今日こそ智くんと!



収録が無事終わり、
先に楽屋の戻った智くんの後を追う。


今日に限って、
いろんな人に捕まって、やっと楽屋にたどり着いた頃には、
智くんの姿がなかった。


「ねえ、智くんは?智くんどこいった?」


「ん?さっき帰りましたよ。
・・・Jと一緒にね」


「え?・・・」


「だから私忠告したのに・・・
大野さんの話をちゃんと聞いてあげてくださいねって」


「・・・・・」


俺バカだ。
なんで昨日会いに行かなかった?
智くんがダメって言っても行けばよかったのに・・・


智くんなんで?
もしかして俺じゃなくて、
松本を・・・


そんなわけない!
だって智くんが好きなのは俺だ!


・・・そうだよね、智くん。


「翔ちゃん!何してるの!駐車場!
急げば間に合うよ!走れ!」


相葉くんが、俺の背中を叩く。
そうだ、まだ間に合うよな。
行かなきゃ!


「ん!ありがと!相葉くん。
今度こそ智くんを捕まえてみせる!」


「おう!翔ちゃんがんばれ!」


俺は慌てて楽屋を飛び出した。


バタン!




゚・*:.。..。.:*・゚゚


「・・・行ったね、翔ちゃん」


「・・・ったく、
うちのおじさんたちはほんと世話がやける・・・」


「ふふ、翔ちゃん間に合うかな?
今度こそ見つめられる?
松潤にはなんて言ってあるの?」


「・・・ん?何も」


「・・・へ?
ニノが松潤になんか言ったんじゃないの?」


「・・・本当Jって期待を裏切らないよね。
本当にかっこいいわ!
もしかして大野さんにはヘタレな翔さんより、
本能のまま動くJの方が合ってるのかも」


「ちょ、ちょっとニノ!
マジで?大ちゃん大丈夫なの?
ってか翔ちゃん、どうなるの?」


なんで貴方が泣きそうな顔してるんですか?


「・・・大野さんにあんな顔させた罰です。
もし、間に合わなかったら、自業自得ってことで・・・」


「ええええ!そんな・・・」


情けない声出して、泣きそうな顔してる相葉さん。
そのうるさい相葉さんを残して楽屋を出た。


本当に相葉さんはばかだな。
大野さんがJを選ぶなんてことあるわけないでしょ?


あの人が好きなのは昔も今もただ一人・・・


自覚しろよな!
翔さん。


ああ、本当に世話がやける。


「ちょっとニノ!
置いて行くなよ!ばか!」


相葉さんがすごい勢いで、
追いかけてきた。


ああ、本当に無駄に元気でうるさい!