「・・・ねえ、翔くん、別れよっか」


「・・・え?」


「・・・別れよっ。その方がいい」


いつものようにふにゃっと笑う貴方。


でも、その瞳が
見る見るうちに涙でいっぱいになった。


俺は突然のことにびっくりして、
俺にそういう貴方に、
手を伸ばした。


でも、貴方はその手をかわして、
俺を見た。


ああその瞳・・・


もう決めたんでしょ?
もう俺が何言っても気持ちは変わらないんでしょ。


それでも、俺は聞かずにはいられなかった。


「・・・どうして?」


「どうしてって、分かるでしょ?」


「何で?今までだって大丈夫だったじゃん!
これからだって、きっと・・・」


「ばーか、もう無理だ。
今大事な時期なんだぞ。分かってるだろ」


「・・・でも俺は」


「・・・おいらの荷物は捨てていいから。
明日からはメンバーの一員として、
よろしくな」


「・・・智くん!待って!」


俺を置いていこうとする智くんを、
後ろから抱きしめた。


嫌だよ!嫌だ!
だってこんなに好きなのに・・・


・・・貴方だって俺のこと好きなんでしょ!
だから泣いてるんでしょ!


「・・・離して、翔くん」


俺は抱きしめたまま首を横に振った。


離したくない!
いや、離さない!
貴方を手離すなんて出来ない!


貴方が好きなんだよ。
智くんが、好きなんだ。


「・・・離せ!」


智くんに振り払われた。
俺のことをキッと見上げた。


ああ、その瞳・・・
俺はもう何も出来ない・・・んだね。


智くんはそのまま寝室に入り、
小さなボストンバックをもって、
俺のことを振り返りもせず、
出て行った。



・・・本当に?
これで終わりなの。


こんなに好きなのに、
まだこんなに好きなのに、
・・・愛しているのに。


腕に智くんの涙がのっていた。
・・・あんなに泣いて。


いや、違う。
泣かせたのは俺。


言わせたのは俺。


貴方を不安にさせているのが分かってたのに、
忙しさにかまけて、貴方を独りにした。


貴方より、自分を優先した。


智くんのことが、
何よりも、誰よりも大事だったのに、
守ってあげたかったのに、


俺が、おれが・・・・
貴方に言わせたんだ。


智くん、ごめん


俺は最低だ・・・・