抱き合ったまま、
息を整えていく。
智くんが先に口を開いた。


「・・・もう、しょおくんのバカ。
おいら待ってっていったのに・・・」


「えー?でも途中で、
もっとしてって言ったのは、
智くんでしょ?」


「そ、それは・・・
もうそんなこと改めて言わないで。
恥ずかしいでしょ?」


智くんが両手で顔を隠そうとするから、
その手を掴んで、ベットに縫い付ける。


「ふふ、恥ずかしがってる顔が見たいの。
もっと見せて」


「やっ、もうバカ」


「ふふ、俺の恋人は可愛すぎる」


ちゅっとおでこに、
はなに、ほっぺに、キスをする。


「・・・むぅ。
ここにはしてくれないの?」


智くんが唇を尖らせ突き出してくる。


俺のマネ?
・・・だから可愛すぎるんだってば!


「・・・じゃ、瞳を閉じて」


「・・・ん」


俺の言葉に素直に瞳を閉じる智くん。
ああなんて綺麗な顔なんだろう。


長い睫毛、


綺麗な鼻、


柔らかそうな唇、


男とは思えないツヤ肌。





「・・・ん?
しょおくん!何してんの!」


智くんがパチっと瞳をひらき、
タレ眉をキッとあげて怒ってる。


・・・キス待ち顔、
見惚れてただけなんです。
とは口が裂けても言えないなぁ。


「・・・もう知らない!」


ぷりっと俺から顔をそらす智くんの顎を掬う。


「・・・俺の恋人は可愛い上に怒りん坊だなぁ」


ちゅっと唇を重ねた。


「ええっと、確認ですけど、
本当に松本と話するの?」


「うん」


「・・・そうなんだ」


「ちゃんと話して分かってもらわないとね」


「・・・え?何を?」


「おいらには結婚を約束した、
大事な人はいるから諦めてってね」


「・・・さ、智くん♡」


俺は智くんにぎゅううと抱きついた。


「だから、おいらに任せてね。
・・・そういえばさ、
翔くんあの約束はどうなったの?」


「?・・・あの約束って?」


「身体を作ってくれるんでしょ?
おいらのモデルの件。
見たところ変わってないみたいだけど・・・?」


智くんが俺のお腹に手を伸ばしてきた。


・・・やべっ。
忘れてた。


「・・・おいらはこのままでも十分なんだけど?
今から描いてもいい?」


「や!駄目‼︎
こんなの駄目だよ!一ヶ月、あと一ヶ月だけ待って!」


俺は慌てて起き上がり、
腹を隠して首をブンブン横に振った。


「あははははー、じゃ、約束だよ。
あと一ヶ月で翔くんの身体がどうなるのか、
おいら楽しみだなぁ~」


「・・・おう。
劇的に変化するから待ってて!」


「ふふ、本当に?
あ、おいらも鍛えようかな?
一緒にジムに行く?」


え?
一緒にジムに行く?


・・・いいかも。
すごくいいかも!


・・はっ‼︎


・・・い、いや!
やっぱり駄目だよ!


智くんが汗かいて色っぽい姿を、
他の男に見せてたまるか!


「駄目‼︎智くんは絶対駄目!
そのままでいい、そのままでいいの」


「?なんで?・・・へんな翔くん。
まあいいか。ね、抱っこして。
おいらお風呂に入りたい」


そう言って両手を広げ、
抱っこをねだる智くん。


可愛すぎるやろーー!
落ち着け俺!平常心だ!


「・・はい、お姫さま。仰せのままに」


俺は智くんを抱き上げ、
風呂場に向かった。