「どう?着れた?」


「・・・着れたけど、
これ・・・いける?」


なかなか更衣室から出てこないから、
俺はカーテンを開けた。


「うわっ!もう、開けないでよ」


大野さんは胸の前で手をクロスして、
背中を向け、恥ずかしかってる。


「・・・女子か⁈
ほれ、ちゃんとこっち見て。
うん。いいじゃん!似合ってる」


大野さんの肩を掴み、
俺の方に身体を向ける。


「・・・本当?
こんなの仕事でしか着ないから、
よく分からないや」


「ふふ、これにしよ!
すみません。これ、着てるの全部ください。
このまま着ていくんで」


「へえ⁈・・・ちょ、松潤?」


〈かしこまりました。
値札を外しますね。ちょっと失礼します〉


「え?は、はい!」


〈終わりました。
では、こちらを袋に入れておきますね〉


店員さんはテキパキ動き、
大野さんの着ていた服を持っていく。


更衣室の中の大野さんはおどおどしてて、
面白いけど、やっぱり可愛い。


「あ、あの・・・、松潤?
これ全部なんて・・・」


「ふふ、お金払ってくるね。
ちょっと待ってて」


戸惑ってる大野さんを残し、
カウンターに向かう。


「あ、ちょっと待ってて、おいらも・・・うおっ?」


慌てて出てきた大野さんが、
つまづいて、バランスを崩した。


「・・・セーフ。
もう気をつけなよ?智」


大野さんを抱きとめ、
どさくさに紛れて、名前を呼んでみた。


「え?・・・ごめん。
松潤、ありがと」


「・・・どういたしまして」


ふふ、耳まで真っ赤。
でも、名前で呼んでもいいってことだよね?


お会計を済ませ、
店を出た。


俺の選んだ服を身につけてる大野さん。
ああ、なんかすげーイイ。


「うん。すごく似合ってる。
さてと、じゃ、行こっか」


俺は大野さんの手を取って、
駐車場に向かう。


「ありがと、松潤。大切にするね。
これからどこ行くの?」


「・・・・・」


「・・・松潤?」


「・・・潤がいいなぁー。
おれ、そろそろ潤って呼んで欲しいんだけど?」


大野さんの顔を覗き込み、
大野さんの細い首に腕を絡める。


「え?・・・」


「潤って呼んでくれないなら、
ここでキスするよ?」


大野さんの唇ギリギリまで、
顔を寄せる。


「・・・・・」


「ん?」


「・・・じゃ、よばない」


大野さんは、ふふって笑って、
目を閉じた。


だから、あんた可愛すぎ!


俺はちゅっとキスをして、
大野さんの手を繋いで、車に向かう。


こんな可愛いひと。
他の奴に見せてたまるか!