どうしてアンタだったんだろう。
どうしてアンタしか目に入らない?
どうしてアンタしか・・・



イチオクノホシ

こんなにたくさんあるのに、

どうしてアンタだったんだろう。



あのとき俺らが出逢わなければ、
この物語は今も始まってない。





この気持ちに気付いた時、
アンタは俺じゃなく、すでにあの人を好きだった。



あの人・・・そう、
なんで、アンタの好きな人があの人なんだ。



どうして俺の欲しいものは手に入らないんだろう。




この世界に入って、最初に憧れて、
その瞳に引き込まれ、
俺が好きになっていたのは翔さんだった。



その翔さんの視線の先にいたのは、アンタ。
なんで完璧な翔さんがアンタなんかを・・・



でも、その訳はすぐに分かった。
俺は翔さんが好きだったのに、
いつの間にかアンタから目が離せなくなっていた。



分かってる。
分かってた。



2人はお互いを想ってる。
2人がくっつくのは時間の問題で、
俺の入る隙間はない。



ちゃんと分かってる。
それでも、ちゃんと伝えたい。
ちゃんとぶつかって、ちゃんとけじめをつけたかった。




大野さん、ありがとう。
ちゃんと答えてくれて、俺の気持ちを認めてくれて。



俺はもうそれだけで十分だよ。
アンタが笑っていればいい。
大好きな翔さんの隣で。



だって、アンタの大好きな翔さんは、
信頼出来る申し分ない男で、
男の俺ですら憧れる男。



ちょっとヘタレだけど、
アンタのことを一番に考え、
大切にしてくれる人だって知ってる。



だから、どうか幸せになって。
俺の大好きな笑顔を絶やさないで。



アンタの幸せを、ただただ祈ってるよ。
アンタと、あの人のそばで・・・。



今日のあの言葉は、
一生忘れない。




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



「じゃ、翔さんが待ってるよ。
行こっか、大野さん」


「うん」



アンタが俺の腕をそっと掴む。
ニノがチャペルの扉を開けると、
赤いバージンロードの先に、
翔さんがたっていた。



ふわっとアンタが嬉しそうな笑顔になった。
ああ、やっぱり敵わないな。



バージンロードを歩きながら、
俺はアンタにこっそり話しかけた。



「ねえ、今幸せ?」


「え?・・・う、うん。
すっごく幸せだよ」


「・・・そっか」


「・・・ねえ松潤、おいら、松潤の気持ち本当に嬉しかったんだ。
おいらを好きになってくれてありがとう。
翔くんより先に出逢っていたら、もしかしたら、おいら・・・」


「・・・え?」


「ふふ、なんてね」


「・・・本当にアンタは・・・」



やっぱり好き、アンタが好きだ!
好きだから、本当に好きだから・・・



「大野さん、幸せになるんだよ!
俺は笑ってるアンタが好きなんだからね」



「翔さん、大野さんを幸せにしてあげてよ!
絶対泣かすなよ!・・・任せたよ」



翔さんより早くアンタに出逢っていたら・・・
何度そう願ったか・・・




『翔くんより先に出逢っていたら、もしかしたら、おいら・・・』




アンタのその言葉を大切にするよ。
・・・一生忘れない。
そして、俺もきっと見つける。



今はまだアンタでいっぱいだけど、
俺だって、俺だけを見てくれる人を見つけるよ。



だから、大野さん安心してね。
俺はもう、大丈夫だから








゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚





たとえ生まれかわったとしても
きっとこの宇宙にアンタを探す。


アンタがアンタらしく輝けるために ずっとそばに



イチオクノホシの中の2人

こんな小さな物語は

あのとき俺らが出逢わなかったら

今もきっと始まらない