「では櫻井さん、失礼します」


「あ、はい。ありがとうございました」


「あ、ごめんなさい」



メイクさんがドアを開ける前にドアが開いて、
入れ違いに、相葉くんが入ってきた。



「お!翔ちゃんカッコいい!
やっぱ似合うなぁ~
次俺と翔ちゃんの番なんだって、行こっか」


「相葉くんもカッコいいよ。
ねえ、智くんもう来てる?」


「うん。すっげー可愛・・っ!
いや!着替えてるとこだったよ!」


「?」


「何もない!さ、急がないと!」



何やら慌ててる相葉くんに促され、
控室を出る。



「そう、あ、ねえ、さっき指輪を回収されたんだけど、
相葉くんもされた?」


「へ?・・・俺は今日つけてこなかったから」


「そっか。ねえ、今日の撮影って、
この前受けたアンケートの?
理想の結婚式だっけ」


「ああ、うん。
だからチャペルで撮影なんだって」


「ふーん」


「あ、翔ちゃん、待って、これ忘れてた」



チャペルの入り口の前で、
相葉くんが俺の左胸ポケットに、
花をさした。



「ん?これ何?」


「ブートニアって言うんだって。
花婿さんの必須アイテム!今日はみんなこれつけるらしいよ」



相葉くんに連れられ、チャペルの中に入る。



「・・・うわっ、すげー、何ここ!
ステンドグラスの光?なんか幻想的な・・・
駄目、俺、うまく表現できないや」


「でしょ~!探すの苦労したんだよ!」


「え?・・・探すのって言った?」


「え⁈ちがっ!・・・えーっと、あ!
雑誌のカメラマンの人が、さっきそう言ってたの!
人気あるとこだから、色々大変で、急遽取れたらしいよ」



「・・・ああ、だから、こんな急だったんだ。
智くんが好きそうだな」



目の前の幻想的な空間に、
すっかり引き込まれた俺はゆっくり中に進んだ。
本当に綺麗だ。



「あ!ヤバい!俺のブートニアがない!」



相葉くんが急に大声を出して、
自分の身体をゴソゴソ触りだした。



「え?どっかで落としたか?」


「そうかも!ちょっと見てくるわ!
翔ちゃん、ちょっとここに立って待ってて」



慌ててる相葉くんが俺の両肩を掴み、
俺の身体を誘導する。



「へ?ここ?」


「うん!そこから動いちゃダメだよ!
俺、ちょっと行ってくるから」


「ああ、わかった」


「いい?絶対に動いちゃダメだからね!」


相葉くんは念押ししてチャペルから出て行った。
1人取り残される。



・・・・・



ん?


あ、あれは・・・・!



すぐそこの台に、見慣れた指輪が2つ、
仲良く並んで綺麗な箱に入れてある。



やっぱりなんか
おかしくね?



最初のニノからの電話。
相葉くんとの会話・・・



さっき、
絶対そこから動いちゃダメだからねって念を押されたな。



・・・・あ!



チャペルの中で、
俺が立ってる位置って・・・



これってもしかして・・・?



はっと気がついた瞬間、
聞いたことのある音楽が流れ出し、
チャペルのドアが開いた。