メイクさんに呼ばれ、
おじさん達がメイク室に移動した。



ドアが閉まった瞬間、
相葉さんがドヤ顔で立ち上がる。



「どうよ!
さっきの完璧だったっしょ!
あの2人、なんの違和感も感じてなかったっしょ!」



「はいはい。相葉さんのおかげでうまくいきましたよ。
さ、戻ってこないうちに、回収しましょ」



「・・・やっぱ、ニノは敵にしたくないわ。
これ、嘘だって気がつかないもん」



Jが2人が挟んで行ったアンケートを見ながら言う。
そう、やっぱりね。2人の結婚式だもん。
2人の理想も聞いとかなくちゃね。



雑誌のアンケートを称して、
あの2人の思いを探ることにしたんだ。



翔さんの書いた回答に目を通す。



「さてさて、翔さんは・・・、
将来の花嫁さんには、正統派の純白のドレスを着て欲しいと。
・・・やっぱりか」


「大ちゃんの衣装は決まりだね」


「あ?・・・待って、これ良いの?」



Jが大野さんのアンケート用紙を見ながら、
指差して慌ててる。



「え?・・・」


「ん?ほらここ!
大野さん、『なで肩翔くんには是非とも紋付袴を着て欲しい』だって」


「・・・紋付袴と純白のドレスって組み合わせってどうなの?」


「「・・・・・」」



3人で顔を見合わせる。



もう1度用紙に視線を落としたJの顔が、
ぱあっと明るくなった。



「ごめん!続きがあった!
『紋付袴はお正月に見るから、カッコイイスーツかな?名前がわかんないけど』
だって。・・・良かった」


「・・・カッコイイスーツ?
タキシードのことですかね?」


「ん。・・・翔さんなら、ロング丈で、黒かな?」


「うんうん!似合いそう!いいよ、ニノ。
それで行こう!」



Jが続きを読み上げる。



「んで、理想の結婚式場はっと・・・っと、大野さんが、
・・・小さな教会で、仲間とこじんまりしたい」


「で、翔さんは、
・・・愛する人と一緒ならどこでもいい・・・?」


「・・・・・」


「・・・・・」



「これ、翔さん雑誌のアンケートだって分かっててこの答え?」


「でも、これ雑誌で読んだら、
女の子はきゃーって喜ぶんじゃないの?
こんな恥ずかしいこと、俺には言えないわ」


「これ、もう大ちゃんとの結婚式想像してるよね!
大ちゃん愛されてるなぁ♡」



「・・・まあ、そういうことにしときますかね」





ガチャ!



「ん?3人で固まってどうしたの?
また何か企んでるんじゃ・・・」



メイクから戻って、
ドアを開けた翔さんが、
私たちを、疑いの目で見てる。



「んー?そんなつもりありませんでしたけど、
ご所望とあらば、ご期待にお応えしますけど?」


「わ!嘘です嘘です‼︎
もうマジ勘弁して!この前の本気で怖かったんだから!」



胸の前でバツを作り、
涙目で首をブンブン横に降る翔さん。
前のがよほど堪えたと見える。



その間にJがこっそり、でも自然な感じで、
アンケート用紙をカバンにしまった。



「・・・分かればいいんです」





「ん?何が?次3人の番だよ、
うおっ、どうした!翔くん」



遅れて入ってきた大野さんに、
涙目の翔さんが抱きついた。



「智くん、ニノが・・・ニノが怖い!」


「は?何言って・・・
ニノ、翔くんで遊ぶなよ」



大野さんがいつものふにゃふにゃの笑顔で、
私を見た。



「・・・はいはい。分かってますよ」



2人を見ていた相葉さんが、
うひゃひゃひゃ笑って、翔さんに言う。



「翔ちゃんも本気でビビるなよ!
ヘタレって呼んじゃうぞ?」


「ヘタレじゃないわ!」



大野さんにぎゅっと抱きついたままで、
凄まれても、説得力ないんですけど?



私たちは、おじさん達を残し、
笑いながらメイク室に移動した。