満月の夜、田貫湖に行きました。
昼間は風が強かったのですが、夜半には無風になっていました。地面は月に照らされ白く輝き、風の音もなく、時折水鳥の鳴く声しか聞こえない、なんとも静謐な夜でした。
2月も半ばを過ぎ、日付が変わる頃の夜空には春の星座が昇って来ています。
富士山頂の上でとりわけ明るいオレンジの軌跡を残すのは、うしかい座の1等星アルクトゥールスです。そこから南(右)へ視線を移動するとわずかに低い所に青白い軌跡、これがおとめ座の1等星スピカです。天頂近くにある北斗七星を見つけたら、柄の部分のカーブをそのまま延ばしていけばちょうどこの2つの星に行きあたります。
これが『春の大曲線』と呼んで星探しの目安となります。この2つの星が高くなってくると、いよいよ夜空も春の準備万端といった風情となるのです。
スピカの後に続いて富士の南麓より昇って来た黄色い軌跡は土星です。
西には冬のダイヤモンド達と木星が、東には春の大曲線と土星が見える束の間の贅沢。極寒の日が続きますが、夜空では密かに季節のバトンが渡されています。