
大阪は阿波座の”カフェマーサ”にて矢野絢子のライブに参加してきた。
この日は高速休日1000円の終了2週間前ということもあったし、名古屋にも行きたかったので車で片道6時間かけて行って来た。
お目当ては勿論、きっと矢野さんにとっても思い入れの強いだろうファーストアルバムの歌。
そしてマーサに設置されたスタインウェイ。
前回、浜松で楽器博物館に行って年代物のピアノ達に出会ってしまった俺は、その後のライブがキーボードだったが為にどうしても生ピアノの音を聴きたいと思っていた。(キーボードが嫌いな訳ではない)
そんな俺の思いを読み込んでいたかのようにピアノは一級品。このライブがあり、しかもたまたま休み、しかも土日連休、という最高のお膳立て(高速割引終了間際ということも含めて)をされていたなら、もう行くしかないでしょう。
ライブはアルバムめぐり「ナイルの一滴」という事で、1stアルバム全曲を順番を変えて行い、ゆっくりと間に当時のエピソードを交えながら進んでいった。 音楽以外のバイトでことごとく失敗した事、音楽しかないと必死で曲作りをした事、メジャーデビューへの戸惑い、不安、自分が無くなってしまう事への恐怖。
時々笑いも交えながら語ったそれらの事は、きっと当時は笑うどころでは無かった筈で、矢野さんの輝きの原点を知れた気がした。
アンコールでは最新アルバムより「唄の舟」「まっすぐブルース」を歌ってくれた。
矢野さん自身も”歌っているうちに当時の気持ちが蘇ってきた”と言っていたその後での『漕いで漕いで漕いで・・進むんだ』『折れ曲がって捻じ曲がって・・まっすぐ行こう!』というフレーズはこのライブの締めにはふさわしい説得力を持っていた。
そしてそこに乗るスタインウェイのまろやかな響き。
ピアノの音は諧調が広く、現代の録音技術をもってしても完全コピーするのは至難の技と聞いた。
その場だけの声、その場だけの音。歌い手の思いと観客の思いを乗せながら最高の盛り上がりを見せた。
まさにライブ=生きている瞬間。
そうは思いながらも、不純かも知れないが、このライブは高音質で録音してCDorDVDにして欲しい・・そんな気持ちにもなった。
つまり、耳も心も大満足だったのだ。