というのは「最大離角」と言って、地球から見て内惑星が太陽から一番離れた角度で見える位置関係の時があり、今回は水星と金星が同じ日に最大離角となるのだ。
元々地球より内側にある二つの星は太陽の方を向かないと見れない為、観測出来る時期が限られている。そして太陽は明るすぎる為、なるべく太陽から離れた方が良く見えるという訳である。金星は地球に近いから明るく良く見えるが水星は太陽により近いのでこういう時でないと見る事が難しいのだ。
もちろん水星と金星、地球の公転周期は違うので最大離角の時期はそれぞれ不定期なのだし、それが同時期に見ごろになるというのは結構珍しい事だと思う。
冬場の星の綺麗な時期である。せっかくなので朝焼けの撮影も兼ねて二つの兄弟星が並んでいる所も収めてやろうと思った。
水星は最大離角と言えどもちょっと目を凝らしてやらないとキラリと光ってくれない。
でも水星と金星の直線上が太陽系のレコード盤と想像すると、地球の丸さとか宇宙の壮大さが気持ち良く感じられた。
ちょうど、さそり座も見えた。
金星の明るい光に獲物と勘違いしたのか、あまりに美しくて追っかけてきてしまったか分からないが、ほぼ真上に頭を向けて地面から上って来ていた。さそり座の心臓で光るアンタレスも嬉々と瞬いていた。
写真でも水星、金星、アンタレス、そしてよく見ると上るさそり座の星達も写っているのが分かる。
夕方は夕方で、西の空の細い月がロマンチックな物語の続きを描き始めていた。