前日の予報は曇り時々雨。
せっかくの連休、今年に入ってから初の一人旅だというのに、おてんとう様はひどい仕打ちをするものだ。
でも、久しぶりの旅なのだから、楽しまないとね。
というわけで、タイトルにて”夏休み第一弾”をアップして数週間。もちろん、一弾があれば二弾もあるわけで。
誰も期待していなかった第二弾、はじまりはじまり。
当日の朝、目覚めてからもなんとなくどんよりしている天気に改めてがっかりしていたが、支度の最終チェックをして、いよいよ出掛けるというその時に、なんと次第に明るくなり、ちらちらと陽が差し始めた。
外に出ると、既に青空が広がっているではないか。
わお。天気にはあまり恵まれた事がない俺にとっては、これは珍しい現象だった。
出発の時が天気だと、きっと良い旅が出来るだろうなと勝手に気持ちが高揚してくれるので、数分前まで恨んでいた天気に感謝しつつロードスターのエンジンを始動した。
今回の旅は、1泊2日の一人旅である。普段は2泊3日程度で、最大で4泊5日。だからいつもの旅と比べると、今回は圧倒的にショートショートである。
理由は第一弾があったから、金銭的にも時間的にもプチなのです。ケチではないよ、あくまでプチ。
今回の目的地は大きく言うと、愛知県の名古屋市科学館、途中の宿は足助ユースホステルである。
なので、まずは東名に乗ってひたすら西へ。
駿河湾が陽光を反射し、きらきらと輝いている風景が夏の遠出らしくて良い!
途中で、牧之原SAにて小休止。
日差しはさらに強くなり、え、前日の予報って・・?と思うほど暑かった。
施設の方へ行くと、なにやら子供達が集まっている。
近くに行ってみると、白い砲弾の様な機械からミストが噴射されていた。
なかなかこれが涼しいではないか!
こんなサービスがあったとは知らなかったが、去年から設置されていたらしい。
いや、良い事するねえNEXCO。
そうしてモイスチャーミストでマイナスイオンをすっかり吸収し、再発進した。
このまま名古屋に行くのなら、ずっと東名に乗っていれば良いのだけど、じつはその前によって行きたい所があった。
それは茶臼山高原。そこで、竹下育男という写真家が星景写真を展示しているというのだ。
以前、何かの写真展を偶然見た時に、それが面白くてずっと見入ってしまたことがあった。
自然界にあるものとの一瞬の出会い。当たり前に進む時の中で、写真に残すことでその一瞬は永遠となり、観る人に一瞬の美しさを永遠に見せ続ける尊さと潔さの感覚に夢中になっていた。
だから始めて観る星景写真もすごく楽しみだった。
東名を途中で抜け、天竜を北に上がり、船堀ダムを抜ける道を走った。
信号がなく、ダム湖を左右に臨みながら、深緑の中を駆け抜けるのは快適そのものだった。
秋になればもっと色づいた景色が楽しめるだろう。その頃には混んでいるかも知れない。でもオススメだ。
途中で山奥の村を抜ける細い道を通りながら、ようやく茶臼山に着いたのは12時。
茶臼山に着いた頃には天気はすっかり曇っていた。
そして、高原の美術館に到着。平日という事もあり、閑散、というか、俺しかいなかった。
だから自分の世界に入ってゆっくりと観る事が出来て良かったけど、開催する側は切ないだろうなと思う。
写真は星景に留まらず、青空の写真や月の写真など、色々な空の景色があった。
タイトルもズバリ「わたしの天空 仰ぎ見る空」だけに、天空の様々な情景を捉えていた。
魚眼レンズで撮った青空はビー玉の様にみずみずしい青色が綺麗だったし、薄雲に隠れた月の月光の柔らかさ、真っ赤に染まる皆既月食を超望遠で撮った珍しい瞬間。もちろん夕闇の深紅から紺色のグラデーションや深夜の天の川の存在感やオリオンのそれぞれ違う星の輝きも素敵だった。
同じ天空なのに、一枚一枚色鮮やかだった。
足が不自由で、あまり遠くへは行けず、愛知の近隣で撮影をしているとは思えないほどに色々な写真だったと感じた。自分の天空も、彼の様に他の誰かを感動させるくらい広大で美しい空であるように・・と思った。
外に出てきたら、霧が濃くなり雨が降り始めていた。
続く