書名:日本人にしかできない「気づかい」の習慣
著者:上田比呂志
出版:クロスメディア・パブリッシング
発行日:2011年10月11日
この本の概要
著者の上田比呂志氏は、老舗料亭の女将の息子として生まれ、三越百貨店、アメリカフロリダ州のディズニーで働いていらっしゃった方です。日本のおもてなし文化を見て育ち、接客を仕事とする仕事をされていたので、この本でも、おもてなしの心とはなにか、気遣いのできる社員を育てるには、というポイントを説明されています。
おもてなしの心とはなにか
東京五輪の誘致キャンペーンの際に、滝川クリステルさんが、「お、も、て、な、し」と、にこやかに日本のおもてなし文化をアピールされていたのを、覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。昨今、日本の独特の感性、文化が世界的に評価されてきているようです。
本場、フロリダのディスニーにあるホスピタリティも素晴らしいものですが、上田氏は、そこで意外なものを見たそうです。スタッフがお客さんからチップを貰っていたそうです。アメリカでは、お金を貰うからサービスを提供する、ギブ・アンド・テイクの考え方が基本ですから、日本のおもてなしの心とは少し違うようです。
上田氏は、おもてなし、気づかい、というのは他者を慮ることである、相手の希望を汲み取り、さりげない行動で示すことだ、と言います。その行動の元にあるのは、人が喜ぶことが自分の喜びである、と感じる日本人の感性だそうです。
私自身の体験ですが、あるデパートにショッピングに行った時、エレベーターで外国から来られたと思われるご家族と一緒になりました。旦那さんはベビーカーを押していました。私より先に、そのご家族が降りられるようなので、エレベーターの扉が開いた際に、私は「開く」のボタンを押して、ご家族が安全に降りられる様子を見守っていました。すると、奥さんは不思議そうに私を見ていました。
利害関係のない人から親切にされるのは、外国の方から見ると「なぜ?」と思うのでしょうね。こんなところに、自分の中にある日本人の感性を見つけました。世界から見ると、不思議な感性なのですね。
気遣いのできる社員を育てるには
上田氏は、ある経営者から、「頭はいいんだけど、仕事ができない」、つまり応用がきかない社員が増えている、と聞きました。
その理由について、上田氏は「意識がないから」つまり、「なぜ、そうしないといけないかの理由がわかっていないから」と言います。
上田氏は、このように言っています。
「気を遣いなさい」、と言葉で言っても伝わらない。人は感情が動かない限り、自ら動かない。
特に、部下に対して気が利かない上司が、部下に「気を使え」、と言っても説得力がない。細やかな工夫、気遣いのできる部下を育てたいのなら、組織全体で、そのための仕組みを作る必要がある。
そのための仕組みとして、上田氏はディズニーの教育システムを紹介しています。ディズニーでは、スタッフの間でストーリーを共有することを徹底し、それがスタッフの一体感やモチベーションを生む原動力になっているそうです。(この本では、心あたたまるストーリーの一例が紹介されています)
スタッフ同士の指導や研修、スタッフからのフィードバックを経営に取り入れる仕組み、客観的な評価制度などの仕組みが、スタッフのやる気やアイデアを育てる。そして、スタッフ全員がマニュアルを超えた仕事を出来るようになる、のだそうです。
日本の会社も、会計報告や業務実績報告、売上目標の発表、などといったことばかり会議でやっていないで、もっと会社のビジョンであったり、お客様からの心温まる話を社員で共有して、社員のモチベーションアップに繋がる有意義な会議をするべきですね。
上田氏は、日本のおもてなしの心に精通し、コーチングも勉強されていて、社員教育にはとても深い知識がある方です。気遣いができるようになりたい方、気遣いのできる社員、部下を育てたい方は、是非ご一読ください。
ディズニーと三越で学んできた日本人にしかできない「気づかい」の習慣/クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

¥1,490
Amazon.co.jp
よろしかったらクリックをお願いします
小説(読書感想) ブログランキングへ