窓の外は灰色の空

雨の朝

2人分のマグカップに

コーヒーを淹れた

お揃いにはしない

意味がなくなる日がくるから




ねえ起きて

前髪を指で掻き分けて

出てきた眉毛をなぞる

まだ起きない

もぞもぞと寝返りを打って

破られそうな微睡みを掻き集める

雨だよ

んー

コーヒー淹れたよ

んー

昨日のドラマの続き見ようよ

んー

電話鳴ってるよ

んー

好きだよ

おれも好き

ずるい人

寝てるか試しただけだよ

おれは愛されてるか試してんの

嫌になる




彼の肌は雨と同じくらい温かくてやさしい




コーヒー冷めてるじゃん

当たり前でしょ

淹れ直したコーヒーと

もう昼食

雨はまだ降り続いていた

形も色も全然違う

2人分のマグカップ

だけどこれが私で

あっちが彼って決まってる

いつの間にか

いつの間にか

こんなに時間が流れたよ




雨の日は

今は嫌い

水切りかごの中に

マグカップは1つだけ





温かくてやさしかった