11月8日に父親が入院してからしばらく会っていないので、生まれて初めて父親の見舞いに行くことにした。
母親に頼まれていた父親の着替えと、父親が家で普段使っていた座椅子のクッションを持って行こうと思いつき両手に抱えて車に乗り込んだ。
病院への行きには、差し入れを買う為にコンビニに立ち寄り、何を持っていけば喜ぶのか迷いながらも、新聞、雑誌、水を買った。
差し入れは一般的にはこんなものかな?
本当は食べ物を持って行きたかったのが、胃からの出血がおさまらないので残念だった。
病院に到着すると駐車場が満車で入り口付近は空き待ちの車の列が出来ていた。
どうやら昼前の病院は外来患者や見舞い客で混雑するようだった。
順番待ちから開放され車を駐車して病院に入り、迷いながらも父親の四人部屋の病室に到着。
カーテンを開けて父親の空間に入ると驚いた。
三日前の父親とはまるで別人のように弱弱しく顔色が悪く、輸血と栄養のカテーテルを入れた状態の父親がそこに寝ていた。
こんな状態の父親を見るのが初めてで、かなりショックを受けた。
正直、目を反らせたくなるような気持ちだった。
差し入れやらで物音がたつと父親は目を開いた。
いつもとは違うか細い声で挨拶をしてくれた。
今施してもらっている処置などの内容を父親に聞きながら、父親の状態を観察していたが、やはり、かなり貧血が進み弱っているようだ。
様子を気にしながら父親と話していると、ちょうど看護師さんが入ってきた。
あいさつもそこそこに報告をされた。
昨夜、父親が一人でトイレに行ったところ、貧血で倒れていたらしい。
それもあって今後はナースコールが自動的に鳴るよう、足元のマットを踏んだら鳴るようにしたとのこと。
また、本来なら午前中に大腸の検査をする予定だったが、昨夜飲んだ下剤の効果で出た下痢の中に血液が含まれいたので中止にし、念の為にCTを取ったとのことで後から担当医が説明にくるそうだった。
心配が重なる現実の連続で、人生初めての見舞いの自分の心にダメージがきた。
昼からMRIも急遽撮るようで、看護師は父親を車椅子に乗せ連れて行った。
そのタイミングで担当医が現れ昨日から現在の状況の報告を受けた。
撮影したCTによると、脳梗塞と肺の中など複数の箇所に血栓が発見されたらしい。
泣きっ面に蜂 とはこのことか。
父親はもともと狭心症と肺疾患をわずらっており、血液が固まりやすい状態でそれが災いしている可能性があった。
そのようなことを思いながら冷静に担当医の話を聞き、今日の夜の告知の待ち合わせの確認をしてその場は終わった。
一人で病室に残り父親の帰りを待つ。
父親が戻り、何気ない会話をしていると、どうやらオレの心配ばかりしているようだった。
三男坊の末っ子だから、父親からすれば放っておけないのだろう。
ただ、今思えばその心配症が胃がんを発症させた可能性もあり、いつも心配ばかりかけさせていた自分を呪う。
父親を安心させる為、「後はこっちで何とかするから、親父はゆっくり休んでいてくれ」と言葉を残し、逃げるようにあいさつを済ませ見舞いを終わらせた。
家までの帰り道、父親の今までの自分への行動を思い出す。
優しい父親だ。
涙が目を潤した。
自分がひと足先に家に戻った今夜、母親と次男が担当医と共に父親に告知をする。
胸の奥から込み上げる思いを押し殺し報告を待つとしよう。
