霜田新監督の就任が発表されました。
多くのサポーターからも要望が上がっていた「チームの土台づくり、基盤づくり」も社長からリクエストされたとのことで、期待は高まる一方です。
ここでいう「土台、基盤」とは、フロント(強化部)も含めたクラブ全体の組織づくりを指すのですが、今回はチームの戦い方のベースという意味での「基盤」について、自分なりに考えていることをまとめてみます。
(客観的な分析や検証はしていないので、「それ違うんじゃない?」と思われる面もあるかもしれませんが、主観的な見方の一つということでご理解ください…)
例えばバルセロナ。ヨハンクライフやグアルディオラの系譜による徹底したパスサッカー・ポゼッションスタイルが「基盤」と言えるでしょう。
日本で見れば鹿島アントラーズ。献身・誠実・尊重を重んじるジーコスピリッツや、「鹿島る」という言葉もあるように勝ちにこだわるスタイルも有名です。
クライフやジーコのような「神様が創造したもうた」スタイルであれば、時代を超えて共有されるべき「確たる基盤」となるのでしょう。
しかしレノファのような地方クラブにとっては、建物の基礎のように準備作業的にベースを作って上物を乗せていくのではなくて、日々の真剣勝負の繰り返しの中で積み重ねられてきたものが結果として「基盤」になっていくのではないかと私は思います。
そういうことで、これまでのレノファの戦いを振り返りながら、これから基盤となりうる要素を考えていきます。
まずは、2015シーズンのJ3リーグから。
多くの選手がパス回しに絡む魅力的で圧倒的な攻撃力がリーグを席巻し、1年目でのJ3優勝、J2昇格を成し遂げました。
ポゼッションを高めるスタイルにプラスして、前線でボールを奪ってのショートカウンターや、相手を釣り出してディフェンスラインの裏を取ることによる得点が多いのが特徴だったと私は見ています。
そしてこのパスサッカーは間違いなくレノファの基盤の一つになりうるものだと思います。(基盤①)
そして2016シーズン、J2に上がっても同様のスタイルで前半戦は快進撃を見せますが、後半になると相手チームの対策が進み、なかなか勝てなくなってきます。
特に、セットプレーで先制されて後は引いて守られる=J3時代のようにディフェンスの裏を取るのが難しくなって、ポゼッションはしてもなかなか相手を崩せずシュートが打てない、そして前線に人数をかけすぎて手薄になった守備をカウンターでやられる…といったパターンで、つまり相手にゲームを上手くコントロールされてレノファの良さが出せないといった戦いが続いた印象が残っています。
選手の大幅な入れ替わりがあった2017シーズンの前半も、基本的には2016シーズン後半と同様の流れで、先制されてゲームをコントロールされ、攻撃のポテンシャルはあるのにやりたいサッカーをやらせてもらえない(ボールを持ってもシュートが打てない)パターンが多かったと思います。
上野監督はあくまで攻撃力を高めることで事態を打開しようとしたようですが、降格が見えてくるとさすがにこれはNGということで、監督が交代されました。
猿沢監督の初戦となる町田戦では、大きく戦い方が変わりました。
これまであまり見られなかった3バックにロングボール戦術は、相手のスタイルやピッチコンディションを考えた結果との説明でしたが、結果としては、これまでの攻撃一辺倒のパスサッカーを封印して、とにかく簡単にやられない=ゲームを壊さないことにチームの舵を切るという号令だったように思います。
その後マジョール監督が就任し、試行錯誤が繰り返されました。
守備面では、監督が好む4-4-2による4バックでは守り切れないことが多く、3バックが主体となっていきます。
攻撃面では、中盤のパスミスからの失点を反省して、ロングボールやカウンターを主体としてラモスの決定力で仕留めるといった感じで、なるべくリスクを冒さない試合運びを志向しました。
そして、ある程度守備の形ができてきたところで、ショートパスでつなぐスタイル(基盤①)が解禁されました。
第36節のホーム名古屋戦63分に、三幸+高柳のダブルボランチを佐藤+小野瀬の2枚替えしたところがターニングポイントだったと思います。
次節の長崎戦以降も、後ろからつなぐスタイルはチャレンジされ、最初はボールを奪われないことを優先して後ろで回すことが多かったけど、徐々にサイドを主体にパスをつないで前進していくようになりました。
そして、守備面でも待つ守備からアグレッシブに取りに行く守備へ。例えば3バックの両サイドがチャレンジしたらセンターがカバーに入る、ウイングが上がってできたスペースにはボランチがカバーに入る、相手のビルドアップには3トップ(2トップ+トップ下)の2人が中盤の両サイドについていくといった形で、運動量と連携を生かした守備の形ができてきました。(基盤②)
そしていよいよ、ゲームをコントロールされるのではなく自らコントロールすることにもチャレンジしていきます。
前述のアグレッシブな守備の形は、機能はしていたけど、その運動量ゆえ前半でバテてしまい、特に2トップが後半まで持たずに攻撃力がダウンしていました。
そこで迎えた第40節東京V戦、それまで岸田+ラモスの2トップが定番だったところ、岸田をサブに回して温存する戦略に出ます。
前半は強力な個の力を有する相手3トップをケアしてしっかり守ることを優先にしながら、機会があればサイドから攻め入ってラモスに合わせる。そして相手の運動量が落ちてくる後半には、機動力のある岸田と大石を投入して相手を攻め込み、少しラッキーな2ゴールで逆転に成功して勝利をおさめることができました。
そして次節の町田戦では、ある程度守備的な相手を見越して前半から岸田+大石によるラッシュをかけて、小塚のスーパープレーもあって先制逃げ切りに成功。こうしてシーズン終盤には、ゲームプランと結果がリンクするようになりました。(基盤③)
以前からのパスや機動力を生かした攻撃力(基盤①)と、今シーズン取り組んだ守備の整備(基盤②)が融合して、さらにはゲームプランにより主導権を握る(基盤③)ことで、最終的には「来季への期待を抱かせる内容(Football LAB)」と言われる状態にまで持ってくることができました。
さらにチーム力を高める上で私が足りないと感じているものの一つは、個の力を利用してゲームの展開を変えること、そしてゴールの決定力です。
個の力については、第34節松本戦での宮城の攻撃参加や、第35節福岡戦での池上の機動力による攻撃はとても効果的でしたが、他には交代選手によってゲームの流れを変えるといったところまでは、なかなかできていなかったと思います。
逆に相手の交代選手のストロングを生かしてヘディングで決められてしまうことが何度かありましたが、レノファもこうしたことができるようになれば、接戦を制したり、負け試合を引き分けに持っていくことができると思います。
決定力については、霜田新監督がコラムで「得点からの逆算の意識」と語っているので、これに期待したいと思います。
https://www.nikkansports.com/soccer/column/shinjitsu/news/201711010000272.html
このようにチームの戦い方としての「基盤」は、いま置かれているリーグでの真剣勝負の中で、課題を克服しながら上手くいったところを積み重ねることで築かれていくものだと思いますし、これからもさらに積み重ねていってほしい。そういった意味で、記者会見での霜田監督の言葉は、全面的に支持したいと思います。
「継続と発展というキーワードはずっと僕らが代表チームでもやってたことなので、今までやってきた事を全否定するのではなくて、ゼロからリセットするのではなくて、今まで良かったことはそのまま継続して足りなかったことを肉付けしていく、色々なことを積み重ねて行きたいと思っています。(略)1年目から全力で一番上を目指そうと思っています。目指した結果、何が出来ていないか、見えなかったのかというのは、1年経った後で気づくと思いますのでその時点でまた修正をして次の目標にしていきたいなと思っています。」
最後にもう一つ、レノファユースU-18の試合を何試合か見たのですが、本当に面白いサッカーをしています。
とにかくよく走る、攻守の切り替えを速くしてボールを奪う、素早くパスをつなぐ、縦を意識した速い攻め・・・もちろんJリーグとはレベルは違えど、いわゆるイマドキのサッカーをしていて、躍動感にあふれている。話が逆なのですが、もしかしたら、レノファの目指すサッカーはこれなのかも?とさえ思います。
ヨハンクライフの言葉「バルセロナは、多くのカンテラ選手を起用する。小さな頃から同じコンセプトで訓練されているからだ。」がレノファでも実現できるようになったとき、私たちはこれまた大きな「基盤」を手にしたことになるのでしょうね。
いつか訪れるその時を楽しみに、来シーズンも応援を続けていこうと思います!
