三宅唱監督最新作


『夜明けのすべて』


2/14と2/21に観ました。





原作/瀬尾まいこ  監督/三宅唱  脚本/和田清人  三宅唱  撮影/月永雄太  照明/秋山恵二郎  美術/禪洲幸久  音楽/Hi’Spec


派手な描写で観客の関心を引き付け、オーバーな演出とオーバーな演技による中味の無い粗悪な映画が多いなか、見事なまでにそれとは真逆の姿勢で映画作りに取り組んでいることにまず感服しました☺️


藤沢さんと山添くん


藤沢さん役の上白石萌音さんと山添くん役の松村北斗くんの佇まいがとっても自然で素晴らしかったですネ。2人を見てるだけで癒されます☺️



上白石萌音さんが上手いことはわかってましたけど、余計な芝居を消し去った松村北斗くんの繊細な演技力に驚きました。
私は本作で初めて彼の演技を見たんですけど、他の作品でもこうなんでしょうか?




藤沢さんはPMS(月経前症候群)で、山添くんはパニック障害を抱えています。
2人は同じ職場の同僚でお互い第一印象はわるかったんですけど、それぞれの病名がわかってからは少しずつ距離が縮まっていきます。



観ていて思ったのは、これは2人だけの問題じゃないということでしたね。
私もイライラすることはありますし大きな声を出すともあります(滅多にないけど)。そのたんびに自己嫌悪になって落ち込んだりも。。
社会に適応できない人を障がい者と言うのであれば私だって立派に障がい者です。

藤沢さんと山添くんの生きづらさのいくつかは自分にも当てはまると思いました。
近づきすぎない2人の距離感から目が離せませんでした☺️


人のやさしさと温かさ

2人が勤めている栗田科学は学習教材を企画製作している小さな会社です。
藤沢さんがイライラを抑えきれなかったり山添くんが急に発作を起こしたときなど、従業員の方々がやさしくフォローします。



また、ここの社長さんは20年前に弟さんを自死で亡くしていて、そんなことも藤沢さんや山添くんを受け入れる要因になっているのかもしれません。



大きな出来事が起こるわけでもなく話は淡々と進んでいきます。でも愛しい場面がたくさんあります。山添くんの彼女に御守りを渡す場面も良かったですね😃



休みの日にそれぞれが会社に出てきていて、汚れた車を一緒に洗う場面があります。
この映画はけして問題を解決して答えを出すといったものではありません。答えを出すこと以上に大事なことがあるのかもって、映画が言ってるような気がします。

恋愛に走らないストーリーも良かったしラストも凄く良かったです😉👍️✨



 
ここから裏方的視点です☺️

栗田科学の
ロケセットについて

栗田科学は貸事務所を飾り込んだセットで撮影されています。
まず感心したのが1階事務所のセットデザインでした。


事務所の中央部に、宙に浮いたような一段高い部屋があります。ここは以前社長室だったみたいですけど今はミーティングに使われたり休憩室になってます。中学生のビデオの編集もここです。
普通ならフラットなはずが、ひとつの空間にわざわざ段差を作ることで途端に映画的になるんですよね☺️
手前で事務作業する社員たち。
そして上の部屋ではホワイトボードを使って激論を交わしている。そういった対比をワンカットで見せたり、上の部屋から下の様子を一望するショットがあったり、いろいろ活用してます。
ナイスアイデアですね😉👍️✨

あと坂道の多いロケーションやシンプルな音楽も素晴らしかったです。

ちゃんと映画を知ってる人たちが作った映画なんだなって、とても安心して観ることが出来ました☺️✨


夜明けの
すべて

もはや今年度ベストワン😉✨
ぜひ映画館で観てください🎵