本日もお立ち寄りありがとうございます😃✨

前回の続きです。
『海亀のスープ』怖い話でしたね😅
人間の生存本能や極限状態における狂気を描いた『野火』や『ゆきゆきて神軍』といった映画にも通ずる部分があり、短編でありながら見応えのある作品に仕上がっているのではないかと思います照れ
いかりや長介さんの存在感が光ってましたね😃✨


『世にも奇妙な物語』はフジテレビやその子会社の共同テレビをはじめ、東映、東宝、大映テレビ、テレパック、KANOXなどの制作会社が持ち回りで作っていましたニコニコ

『海亀のスープ』の制作はKANOXで、演出家 久世光彦さんが設立した制作会社です🏢ニコ



当時私は美術会社に勤務していました。
KANOXからオファーがあったあと、私と同僚のSくんと共同で美術進行を担当することになり、「海亀のスープ」「チャネリング」「毛皮が脱げない」の3話を同時進行で準備しましたニコニコ



美打ち
美術打ち合わせでは3話分おこなわれ、演出家、演出部、プロデューサー、アシスタントプロデューサー、美術制作(美術プロデューサー)、美術進行、スタイリストなどが集まり、どんなイメージでどんなものを準備するのか、演出家の要望を聞きながら案を出し合います爆笑

このとき久世さんからは、レストランとラストで大きな亀の剥製を出したいこと、トンネルではスモークを使いたいこと、いかりや長介さんの部屋では高級感のある大きなテーブルが欲しいことなどが挙げられましたニコニコ

ところで久世さんとはこのとき初めてお会いしたんですけど、江戸っ子気質の粋な方だなという印象を持ちました😉✨


撮影
冒頭の欄子の部屋は実際のマンションをお借りして撮影しましたにっこり


ニュース映像はあらかじめスタジオで収録したもの。


芝山の自殺のニュースを見てショックを受ける欄子
顔を押さえたあとカメラが左へ高速パン。
流れる映像。
次の場面
ここまで0.5秒くらい☺️
久世さんがカメラマンに「ここはパンカットで」と指示。
カットの終わりでカメラを水平に横へ素早く動かすことで映像が流れ、時間経過(ジャンプ)を表します。
オーソドックスながら今でもよく使われる手法です😉✨



さらにもう一度パンカット。
実際の映像だとビュンビュンと流れてます。


レストラン(回想)
銀座にあるレストランにて。
撮影は昼間でしたがナイトシーンのため窓に暗幕を張りました照れ



芝山役の天本英世さん。独特の存在感ですよね😉✨



あえて右上よりライトを入れ込むことでカメラのレンズにハレーションを起こしていますウインク


ちなみにウェイター役は芥正彦さん。
映画「三島由紀夫VS東大全共闘~50年目の真実」(2020年)に出演されてましたネ爆笑



スープを飲んで動揺する芝山。
ライトを映り込ませ、あえて逆光を効果的に使って心理的な動揺を表現しています。
久世さんのこだわりはとにかくライトでした☺️✨


葬式
美術制作のTさんの指揮のもと大道具さんたちで葬儀の飾り込みをしました。
私は次のロケ地での準備のためこの場面は立ち会ってません。


後ろの提灯(芝山家)も新たに作ったもの照れ


レストラン(回想)
何故か壁に海亀の剥製が😅
私が取り付けました(笑)
もちろん久世さんの指示で。

今ならネットで簡単に探せるかもですけど海亀の剥製なんてどこにもなくて、けっきょく撮影直前に湘南動物からお借りしました😁💦



トンネル
これも左側から強いライトを一発当ててますね。
場所は忘れましたが不気味なトンネルです。


ドリフとはまったく真逆のイメージのいかりや長介さん。待ち時間もずっとムスっとしてました。
撮影直前になってマフラーの色が気に入らないとダメ出し。スタッフは顔面蒼白に。夜中、APとADがロケバスから飛び出しあちこち店をまわってようやくいかりやさんがお望みの色を見つけて買ってきました
ヒヤヒヤもんでした💦



スモーク
私が担当したスモーク。
あらかじめ丸玉屋さんから購入しておいた発煙筒を焚きながら久世さんの指示で奥まで走ります。
カットごとに焚いていたので、60本用意していたものが最後は数本しか残りませんでした。
途中、久世さんから「あと何本?」と2、3回聞かれ、余計な気を遣わせてしまいました😣
100本用意しときゃよかったかもしれませんけど、煙い中で演技しなければならない俳優さんたちを思うと複雑な気分です。
私もけっこう走りましたよ。若いから出来たけど今ならぜったい無理です😁



これも蛍光灯を強調した大胆なライティングですよね。



カットの終わりがけにカメラが斜め左上へパンアップします。
加藤(いかりや長介)の家の前へとつながります。
この場面転換上手いですよね。
前カットのパンアップなんて、あらかじめ頭の中で編集がおこなわれているってことですもんね。久世さんのセンスを感じます😉✨




消えものは美術が用意します🥃




演出補佐のKさんから、タイアップで家具が借りれるお店があるとの情報を得て、出向いてテーブルと椅子を選んできました。
ちなみに貸してくれたお店はSAZAVYです。
運搬は最善の注意を払い、ロケセットの邸宅(どなたかの別荘だそうです)も傷をつけないように養生をして慎重に運び入れました。もはや引っ越し屋さんです😃


欄子役の木内みどりさん。
久世さんとは撮影の合間によく談笑されてました。明るい方ですね☺️

それで久世さんが「欄子役は本当は相楽晴子でやりたかったんだけどダメだったから、仕方なくあなたにやってもらうことにした」というようなことを木内さんに言ってるわけですよ。
木内さんは「やだあ~先生ったら~」みたいな感じで笑い飛ばしてましたけど、お互い信頼してるから言えることなのか。木内さん笑ってるけど内心ムッとしてないかなと思ってしまった。普通しますよね。
でもそれがもし目的だとしたら、つまりそれで女優魂に火を点けていたとしたら、それも久世さんの演出?!
真相はわかりません。


暗くてよく見えないけど風格のある上質のテーブルです。我ながら良い物を選んだなと自画自賛😅



光りと影のコントラストが表情をより不気味に浮かび上がらせます。
いかりや長介さんの演技が素晴らしいですよね。
常に不機嫌でムスっとしていたのは役作りだったのだろうか。



照明が落ち、窓外のブルーが強調されます。










「死んじゃだめ」の台詞にグッときます。



カーテンを開けると正面に岩肌が見えますね。近くに見えるけどけっこう遠いんです。100メートル以上あります。
入り江になってて、手前から対岸に向けてライトを当ててるんですけど、このライトが見たこともないバカでかいもので、あたり一帯が昼間のように明るくなったんです。このワンカットだけでもお金かかってます。
久世さんの光に対するこだわりに脱帽です❗️




海亀が海に帰る。

これですね、ADが潜水服を着て先のほうで潜ってピアノ線で引っ張ってるんです。
あ、こういうことはバラさないほうがいいですね。
見えないところでスタッフの苦労がありますが視聴者にとっては関係のないこと。
関係ないけどcleartoneのブログではあえて取り上げたいと思います☺️💖

映像解説に偏ってしまいましたけど、クラシックを多用した音楽も映像に合わせていて素晴らしかったですね🎵



最後にもう一度動画貼っておきますね照れ




画質がよくないですけど最後にタモリさんが出てくるバージョンです。





といったわけで、長々とお付き合いいただきありがとうございました😃❣️

よりドラマを楽しめていただけたら幸いです🍀