もう2年以上前になりますけど、アンコール上映で『万引き家族』を観ました☺️
これまでの是枝作品とはテイストが違う!
というのが第一印象でしたね
もちろんイイ意味でですが、それは主にカメラワークによるものでした🎥😉✨
ドキュメンタリータッチは影を潜め、長回しや手持ち、マルチカム、さらにクレーンといった特機もほとんど使われていなかったと思います。
食事や雑談など一家団欒の場面ではカットを積み重ね、ワンカメでワンカット、ワンカット丁寧に撮っていました
全体的にあおりのアングル(低い位置から上に向けた角度)が多いのは子供の目線を意識してのことでしょう。
それらはすべてカメラマンの視点が大きく作用したものだと思います
あとで知ったんですけど、カメラマンの近藤龍人(こんどう りゅうと)さんと是枝監督とは今回が初顔合わせだったそうですね
かなりコミュニケーションをはかったのではないでしょうか。
そして幾つものさりげないテクニックによっていつの間にか観客と映画との間で安心(=信頼)が生まれたのではないかと思います😃✨
ロケと
ロケセット
一番感心したのが柴田家のセット撮影です。
これはスタジオに作ったセットと、ビルの谷間にある実際の平屋を飾り変えたロケセットとをマッチングして撮影してます。
これはカメラのポジションでわかることなんですけど、一家団欒の場面はセット。庭先や縁側の場面はロケセットです。
この2つのセットを、あたかもひとつの家として見せていたわけです。
全てをロケセットで済ませれば良いものをなぜわざわざ手間のかかることをしたのか?
ひとつには子役の時間的制限です。
夜の場面では暗くなってからしか撮影出来ませんので、ロケセットでは長時間の撮影(労働)は無理ですよね。
スタジオなら朝からでも夜の場面は撮れますので時間もかけられます。
花火の音を聴く縁側の場面はロケセットで手短に😋
もうひとつの理由としては、セットなら壁や天井が取り外し可能ですから、カメラのポジションやアングル、サイズの選択肢が広がります。
あの一家団欒の場面でのカメラワークは狭いロケセットでは無理なんです☺️
庭絡みの場面では奥の部屋も映ってます。逆に夜逃げの場面では部屋から外に出ます。
スタジオとロケを違和感なくつなぐためには照明の明るさや色味に差があってはいけません。
つまり露出のバランスが取れてないとセットだロケセットだとバレてしまい画調がチグハグになってしまいます。
ロケとセットを違和感なく見せる技術はかつて宮川一夫さんが得意とするものでしたが、この作品はそれに匹敵するクオリティの高いものでした。しかも現像するまで結果のわからないフィルム撮影ですから。
なんと素晴らしい仕事ぶりでしょうか😃❗️❗️
丹念なカメラワーク、美術の再現力、照明のマジック。
登場人物の感情や動きが途切れることなく自然体に見える背後には、画面には映ることのない見えない力が働いていることを実感させられます。
セットとロケセットとのマッチング。これもひとつの映画の醍醐味であります😉✨
パルムドールや他の映画賞はそこんとこを汲んでるのかどうかわかりませんが、少なくとも私は大絶賛ですっ😃❗️❗️
『万引き家族』のスタッフワークに
バンザーイ
※画像はネットからお借りしました。