昨夜(5月23日)に放送された『いいね!光源氏くん』最終回、号泣でした!
豊かな俳優陣
光源氏役の千葉雄大くん。
私の姪っ子が“あざとかっこいい”と言っておりましたが、なるほどそうかもネ
所作も見事に生かしていた上に平安貴族の衣装がぴったんこでした
藤原沙織役の伊藤沙莉さん。
これはビックリした!
このドラマで初めて知った女優さんなんだけど、彼女に感情移入しっぱなしでした。凄い女優さんですね
コメディにありがちなオーバーな演技は一切なく、あくまでナチュラルで抑えた芝居に徹していました。それがとても良かった
一言で言うと反射できる女優さんです。
この「反射」というのは、相手が言った台詞に対してのリアクションを指してるんだけど、台本に書かれた台詞はあらかじめ俳優は知っているわけですから下手な人だと段取り芝居になりがちですね。オーバーアクトで誤魔化そうとする人も多いです。
逆に、いかにも“ナチュラル風”なお芝居というのも厄介で(本人だけがナチュラルだと思っている)、それが作為的に感じられてしまえばかえって邪魔になります。どちらも技術が伴っていない状態です。したがってどちらも演技の幅が狭いです。
相手の台詞、それをあたかも初めて聞いたかのように違和感なく自然に反応する様を「反射する」と例えられています。
むかしむかしの大昔、溝口健二という監督さんが「あなたはいま反射してますか?」とよく俳優に問いただしていたそうです。
伊藤さんはそうした高度な技術にも増して天性の勘の鋭さを持ち合わせているように思えました。
このような俳優はそうそういるものではありません。
伊藤沙莉さんは、20年、いや、30年に一人の逸材だと思いますよ
頭中将役の桐山漣さん。
沙織の妹、藤原詩織役の入山杏奈さん。
烏帽子にジャージ。
沙織のシックでおしゃれな衣装も毎回見逃せませんでした
スタイリングのセンスが光ってましたネ
光源氏がOLの部屋に居候するという設定が実にユニーク
女性観
原作 えすとえむ
脚本 あべ美佳
「よるドラ」という枠の中で、ファンタジーである本作をどのような世界観にするか。プロデューサーを含め、原作者と脚本家の間で作品のトーンがあらかじめ決められていたとは思いますが、そこにメインディレクターの小中和哉氏が加わり具体的にどう映像化していくかを各パートと共に構築していったわけですね。
・・・と、
見てきたかのように書いてますが、あくまで私の想像です
アラサー独身。自立してはいるもののコンプレックスを持った自信のない女。
そこから見た風景。
そこで感じた感情。
沙織を通して、いつの間にか沙織の立場でドラマを観ていたように思います。
ドラマ後半では光くんに辛辣な言葉を発する場面が増えましたがその真意は・・・
おそらくは裏返しですね
作品のトーン
第一絵巻(第一話)の最初のほうで、光源氏が沙織の部屋に突然現れた場面で光は「ここはどこじゃ」「そなたは何者じゃ!」などと騒ぎ立てませんでした。
平安時代から迷いこんできたにもかかわらずいたって冷静です。
ここでこのドラマのトーンが決定しましたネ
突拍子のない設定でありながら単なるドタバタコメディになっていないのは、前述した女性観を主軸にしながら、抑えた演技、抑えた演出によってリアルに感じられていたからだと思います。
けっしてオーバーな方向に持っていかない。
そうしたブレない演出がラストまで貫かれていました
アンサンブル
紫式部の『光源氏』を土台にしつつ、漫画原作、脚本、演技、カメラワーク、編集、衣装、ヘアスタイル、音楽など、各パートの
アンサンブルが絶妙でした
ことに千葉雄大くんと伊藤沙莉さんのお芝居、そして作品世界の方向性を示しながら2人の演技力を引き出した演出とのトライアングルがドラマの精度を高めたと言っていいと思います
そして小中和哉監督のデビュー作『星空のむこうの国』を思わせるラストの幸福感。
監督、お見事でした
いいね!
光源氏くん
いいね!
すでに続編を希望する声が多く寄せられているようです
私も続編を希望します。
コロナで疲弊していたところに心温まるドラマの登場にホッとしましたネ
かる~く見ながら、深~く考えさせるところも魅力的。
久々に心に残る名編でした