1988年3月にテアトル新宿にて単館ロードショーされた邦画の名作。



中嶋朋子

柳葉敏郎


角田英介 原彩子 新井昌和 水口馨

小沢仁志 鈴木愛 井澤奈美 永田豪史

寺田農 山口果林


四月怪談

原作 大島弓子

脚本 関顕嗣  小中和哉

音楽 中谷靖

撮影 志賀葉一  照明 吉角壮介

録音 杉崎喬      美術 近藤成之


監督 小中和哉



オリジナル版『星空のむこうの国』('86)に続いて製作された小中和哉監督によるファンタジーの秀作


前回のブログでリメイク版『星空のむこうの国』(2021年)について書いたあと久しぶりに『四月怪談』をDVDで鑑賞しました。


当時テアトル新宿に足を運び、中嶋朋子、柳葉敏郎、小中和哉監督が登壇した舞台挨拶を間近で見ました。映画館で5回(一日何回も観れた)、セルビデオやDVDを合わせるとこれまでに20回以上は観てると思うんですけど、いやあ~何度観ても良い映画です😉❗️



幽霊になった女子高生


ここは天国への入り口?


主人公の国下初子(中嶋朋子)は迷い込んだ世界で大きな門の前に立ち、いざ扉の中へ入ろうとすると突然現れた男、弦之丞(柳葉敏郎)に呼び止められます。


「早く体に戻ったほうがいいですよ。この門をくぐるのはまだ早いです」


廃工場で落ちてきた鉄骨に当たって死んでしまった初子は幽霊になっていたのでした。しかしそれは初子の勘違いだと弦之丞は言うのです。

初子は夢だと信じません。



幽霊を満喫?!☺️


これが夢でないこと、そして勘違いで死んでしまったことを指摘し(実は一緒に落ちてきた弁当箱に頭をぶつけただけ)、体のそばに行って意識を集中すればすぐ生き返れると弦之丞は訴えます。


しかし初子はテレポーテーション(瞬間移動)が出来る幽霊の特性を知り、相手から自分が見えないことをいいことに、好きな男子生徒の家に行ったり葬儀の準備をしている自分の家に行ったり自由に行動しますニコニコ

このあたりは少女漫画らしく可愛い展開です照れ



子犬を助けなきゃ


そもそもは学校の帰りに子犬の鳴き声に導かれて廃工場に入ったことが事故のきっかけでした。


テレポーテーションを使い再び廃工場へ弦之丞と行き段ボールに入れられた捨て犬を助けようとしますが幽霊の初子は掴むことすらできません😢


何でも出来るようでいてその実何にも出来ない幽霊の無力さを痛感する初子でした。。



幽霊と対話できる夏山くん


学校では変人と名高い夏山登(角田英介)。

弦之丞は夏山に子犬を助けてもらおうと初子と2人で会いに行きます。

なんと夏山は幽霊と対話できる能力を持っていたのです😃


子犬を助けたあと初子が死んでいたことを同級生から聞いて唖然とする夏山くんでありました😨💦



生き返るのやめた


幽霊になったために味わった失恋。

取り柄のないこれまでの人生を振り返る初子。

そんな中いよいよ出棺の日を迎えます。


ところが、体のそばに行って意識を集中するはずだった初子が弦之丞の元へ戻ってきます。


「生き返るのやめた

私もあなたのお仕事を手伝うことにしたの」


初子は棺の中の自分にお別れしてきたと言い出しました😣


「なに馬鹿なこと言ってるんだよ

君を無事に生き返らせることが僕の仕事なんだから。

君は生き返ったら出来ることが無限にあるんだから!」



火葬場


出棺した霊柩車より先回りして火葬場へ。弦之丞は必死に初子を説得し続けます。


ここから棺が焼却炉の中へ入っていくまでの場面は何度観ても緊張感と感動で涙が溢れてきます😭😭😭


柳葉敏郎中嶋朋子の演技に釘付けです❗



それ、開けてください!


棺に点火されるそのとき、あの夏山登が人をかきわけて入ってきます。

初子が卒業文集に書いていた大好きなレンゲを持って。


「ちょっとそれ、開けてください。

これ、持たせたいんです」


夏山がそう言うと初子の母(山口果林)が泣きながら叫びます。


「開けてー!開けてー!開けて出してちょうだい。初子連れて帰るの。死んでない!初子死んでないわ!!」


狂ったように泣き叫ぶ母を見て初子の心が揺れる。


棺がもう一度出され花に囲まれた初子の顔が現れます。


夏山がレンゲを棺に入れる。


そのタイミングで弦之丞が初子の背中を押す。



心優しき幽霊さん

本当にありがとう


レンゲをゆっくりと手で掴む初子。

そしてわずかに目が開きだした。


生き返った初子を見て歓喜の声を上げる両親、先生、生徒たち🎉🎉


それを見届けた弦之丞は天国の門の中へ入っていきました。


心優しき幽霊さん

本当にありがとう☺️💕



心に残る映画です


元々はビデオ発売用としてローバジェットで作られた本作。


非日常的でファンタスティックな内容にもかかわらず作品世界へ自然に引き込まれる要因は、まちがいなく中嶋朋子柳葉敏郎の熱演によるものです😉✨


撮影当時まだ24歳だった小中和哉監督の瑞々しい演出が真っ直ぐな2人を鮮やかに切り取りました。






ファンタジーでしか描くことが出来ない繊細な心の動きをこの映画で感じられます☺️💖

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