1983年に発表されたハービー・ハンコックの『フューチュア・ショック』 です
このアルバムからシングルカットされた「ロック・イット」が大ヒットし、同時にブレイク・ダンスも流行りました
前作『ライト・ミー・アップ』(1982年)ではジェイ・グレイドンとナラダ・マイケル・ウォルデンをプロデューサーに迎え、コンポーザーにクインシー・ジョーンズの右腕であるロッド・テンパートンを招き入れディスコ系AOR的ポップ・ミュージックを作り出し私たちを楽しませてくれました。
なので『フューチュア・ショック』が登場したときはあまりのサウンドの変化に仰天しましたよ
いや、正確に言うと『ライト・ミー・アップ』と同時期に『ハービー・ハンコック・カルテット』というジャズアルバムをレコーディングしていますから余計に驚いたわけです。
エレクトロニックかアコースティックか、どちらが本当のハービー・ハンコックなのか?!みたいなことを音楽雑誌でよく論議されていたことを覚えています。
しかしどちらもハービー・ハンコックなんですよね
つまりその徹底ぶりがハンパないんで二つの顔があると言われたり、あるいはそれ以上見せてくれるから戸惑ってしまうのでしょう。
まさにカメレオンですよ
ハービー・ハンコックってジャズ以外の人を招いてそのエッセンスを融合させるセンスに長けていますよね。
『フューチュア・ショック』におけるキーパーソンはベーシストのビル・ラズウェルです。当時日本ではまったくの無名でした。
ハンコックが目をつけたんだから只者ではないはずです。ハイ、このアルバムではビル・ラズウェルのユニットである「マテリアル」が全面的にバックアップしています。
スクラッチの導入や数々のエフェクトは彼らの実験精神から生み出されたものだと思います。
一度聴いたらエンドレス。
アルバム『フューチュア・ショック』より
ハービー・ハンコック/ TFS
ドラムのスネアにクラッシュ音のような数種類のエフェクトを交互に掛けアクセントをつけていますね。
注目すべきはハープシーコードのようなキーボードによるハンコックのバッキングです。
パラディドル奏法を用いたこのハンコックのノリとセンスが実に素晴らしいですネ♪
そして時おり入るアコースティックピアノが癒しポイントとなっています。
TFS
単調ながら飽きのこないサウンドです