白川郷からは国道156号線を北上し、
約22キロ、クルマで約20分のところにあります。
山を越えた下り坂に駐車場があり、
そこから村へは徒歩とエレベーターで下りていくことになります。
菅沼は谷にある集落といった感じです。
集落へはエレベーターで下りると楽なのですが、
私は村全体を眺めたいので、
国道沿いを歩く道を選びました。
駐車場からしばらく坂道を下っていくと、
歩道から村を眺められる場所がありました。
眼下に見下ろす菅沼は、白川郷よりもはるかに小規模の村でした。
合掌造りといえば、
菅沼集落よりも白川郷のほうが有名で、観光客も圧倒的に多いです。
菅沼集落は家屋も少なく、観光客も少ないため、寂しさを感じるほどです。
でも、私は菅沼集落のほうが好きです。
理由はしっとりとした感じで、大人がゆっくりと趣を
楽しむことができる雰囲気だからです。
白川郷のように何十人もの観光客を積んだ大型バスも多くはいません。
せいぜい2~4人程度の観光客が多く、騒がしくもありません。
菅沼集落に入ると、
ますますその魅力が倍増しました。
田んぼがあり、山があり、
里山と一体化した風景が広がっています。
昔ながらの合掌造りの村 という感じがします。
紅葉しはじめた木の向こうに大きな家がみえます。
近寄って見ると、
威風堂々とした立派な家であることを感じさせます。
茅葺き屋根の厚さが分かります。
豪雪に耐えるための厚みでしょうか?
秋の季節を思わせる、
つるし柿がかけられていました。
今ではあまり見かけない風景です。懐かしいですね。
外から見ると、
三階建てに見える窓の配置となっています。
集落内のほぼ真ん中に、
「神明社」と書かれた石柱を発見!
若い頃は興味がありませんでしたが、
歳を取ると神社や寺院への興味が増してきて、
旅行で遭遇する機会があると参詣させていただいています。
今回も行ってみました。
石柱の横の道を進むと、神社の鳥居がありました。
大きくはありませんが、かなり古そうな鳥居です。
しめ縄の先に、
赤い屋根のお社っぽい姿が見えました。
すぐにお社が現れました。
宮司が在居しているような大きな神社ではなく、
農村にあるような小さなお社です。
この村の人々が昔から奉っている神社なのだと思います。
お賽銭を入れて、手を合わせます。
「立派な合掌造りのある菅沼集落を訪れることができたこと」
に対してお礼を言いました。
社から集落方面を見た風景です。
鳥居のすぐ近くに合掌造りの家がせまっていました。
村民にとって、身近で日常生活に近い存在なのでしょう。
村の端に行くと、
屋根に打ちかけられた簾のようなものがあります。
絶えず訪れる観光客からの視線は堪えられないと思いました。
観光地の中での生活。
生活自体が観光の名所となっているのでしょう。
白川郷や信州の妻籠宿も、そしてこの村も、
そうしたバランスの中で成立しているのですね。
でも、多分自分にはこうした生活は無理かもしれません。
観光客として訪れているので、
自分勝手な利己的な気もしましたが・・・
約1時間半くらい集落内を歩き回ったので、
少々疲れたため、茶店で休憩しました。
ついでに食べたかった五平餅を注文。
五平餅とは、うるち米を串に刺して味噌や醤油のタレをつけて
焼いた、奥飛騨や木曽などで食べられる郷土料理です。
この地域のソウルフードと言って良いかもしれません。
おやつ感覚で食べる感じでした。
集落の外には、高い山がそびえています。
おそらく、こうした高い山に当たった風が厳しい風雪をもたらすのでしょう。
今は道路が整備されていますが、
昔は豪雪に見舞われると孤立していたのだと思います。
周囲から閉ざされ、雪の季節を過ごす生活というのは、
どのような感じなのでしょうか。
集落内を約1時間半ほど散策したのち、
駐車場へと向かいます。
観光化された地域となったためでしょうか、
駐車場へはエレベーターで上がれるよう整備されていました。
この長いトンネルの先に、エレベーターが設置されていました。
エレベーターから駐車場へと降り、
再びクルマに乗ります。
そして、いよいよ最後に向かったのは、
同じ五箇山の「相倉集落」。
菅沼からはクルマで15分のところにあります。
先ほどの「菅沼集落」が谷にある集落とすれば、
こちらの「相倉集落」は里山にある集落といった感じです。
山の上のほうにあるので、陽も当たり、明るい感じがします。
ススキと茅葺き屋根。
日本の里山の風景が広がります。
相倉集落は集落内の道路も整備されており、
居住者と思われる方のクルマも走行していました。
昔と現在の両方の生活らしさを感じさせてくれます。
中には居住者がいない家屋もあるようです。
そうしたところには、外部からの移住者を受け入れているようでした。
高台があったので、登ってみました。
修復中の家屋などがみえます。。
また、この集落にも、小さな社がありました。
地主神社と書かれています。
参拝させていただきました。
社側から見た風景です。
先ほどの集落同様、
この神社も、鳥居付近まで家が迫っています。
神社を出ると、
収穫の終わった田畑が見えます。
もうすぐ雪の降る冬が訪れようとしています。
こうして世界遺産白川郷と五箇山の旅は終わりました。
これから富山県へと向かいます。
初めての富山の夜に期待の胸が膨らみます。
つづく。
