鳥取旅行2日目。
この日は、智頭町にある伝統的建造物群保存地区「坂井原集落」に向かいます。
鳥取市のホテルを出たのが9時過ぎ。
智頭町へは高速道路で約30分くらい。
坂井原集落へは、智頭インターチェンジを降り、狭い道幅の山の中を進んだ5キロほど先にあります。
 
一部離合が不可能な道を進むと三叉路にぶち当たり、坂井原集落の道標が見えます。
 
伝統的建造物群保存地区「坂井原集落」と書かれた看板があり、小スペースの駐車場がありました。
坂井原集落へは、ここから約500メートル先にあります。
 
坂井原集落についての説明看板がありました。
坂井原集落は江戸から昭和初期に建てられた住宅が約100棟あまり集まった集落で、
自動車が集落内に入れないので山村集落の形態を保持している、という趣旨でした。
 
集落へは、小川にかかった橋を渡らないと入ることができません。
古びて赤茶けた欄干と木の床の橋を渡ります。
 
集落内に入ると藁葺き屋根の住居がありました。
古そうですが、きちんと管理された立派な家です。
 
鬱蒼とした木々や草原に囲まれた家屋がありました。
夏の日差しに輝いて綺麗に見えます。
ゆったりとした夏の日という感じです。
 
集落の中には小さい川が流れています。
石で築き上げられた小さな堤防は、遺跡のようで、なんとも風情があります。
子どもの頃、こんなところで良く遊んでいましたので、
いつか見た風景という感じです。
 
住居の中には、白壁に家紋や屋号が飾られた家もありました。
こんな小さな集落にも商人がいたのでしょうか?
人びとの生活の営みを感じさせます。
 
集落の中ほどに、古民家カフェの店を発見!
早速中に入ると、、、
 
なんと、囲炉裏がありました!
 
店内には二組のお客さんがいらっしゃり、のんびりと思い思いにくつろいでいるようでした。
私たちは、川が眺められる窓側に着座しました。
 
メニュー表を見ると、和佳と書かれています。
女将さんの名前でしょうか?
 
アイスコーヒーとケーキセットを注文。どちらも美味しかったです。
 
ゆったりとした眺めと時間の中、しばし、ぼ〜として過ごしました。
これほどぼ〜として過ごしたのは、高知県の馬路村と四万十市の黒尊の民宿に泊まった時以来です。
 
 
ランプのような照明の下、時が止まったような感覚です。
また外の暑さが嘘のようです。
 
他の部屋も民芸調で風情がありました。
民芸民宿でもされたら良いのに、と思います。
床の間に飾ってあるのは、「よさこい踊り」の写真。
なんと、ここの女将さんは、「よさこい踊り」のチームで活躍しているそうです。
高知つながりですね。
 
 
40分くらい滞在ののち、店を出て、改めてパチリと一枚撮影。
NHKの古民家カフェを紹介する番組、「ふるカフェ系 ハルさんの休日」に是非登場して欲しいお店でした。
 
 
再び集落を散策。
集落の中央には幅の狭い道が貫いていますが、
山々が迫り、道幅も狭いので、自動車が入れないのが良く分かります。
 
しかし、そのことが家屋と木々といった自然が互いに溶け合っているような感覚を感じさせるのでしょう。
「静」という禅の世界にいるような感じもします。
 
しかしながら、集落には廃屋も沢山ありました。
実際、たまたま集落に住んでいたというおじさんから話しかけられた際に、
この集落に住んでいる人はほとんどいない、とおっしゃっていました。
集落を離れた人、たまに帰ってくる人などがほとんどなのでしょう。
この写真の「かまどめし」と書かれた住居も、人とけがない感じです。
すでにここを離れ、辞められたのでしょうか?
 
 
 
帰宅の途につくため、再び橋を渡ります。
橋を渡り終え、川に面している集落の家を見ると、
家から川に降りる階段がありました。
おそらく川で洗濯のために降りる階段なのでしょう。
しかし、ほぼ毎日使われていた階段も、
今では誰も使用しておらず廃墟のような感じです。
 
その時、私にはその光景が「千円と千尋の神隠し」と重なりました。
過去にあったものが、寂れて今は無くなっている光景が、
映画のラストシーンのように感じられたのです。
 
橋を渡る前と渡った後、そこには隔世のように大きく隔てられた時間の壁を感じたのです。
 
そしてそのことは、自動車に乗る直前にも、あるものを
見てしまい、改めて感じさせられました。
 
それは、この神社です。
写真では分からないと思いますが、
寂れた感がありながらも霊気を感じさせる神社でした。
過去と今を見てきたこの神社を見たとき、
やはり「千と千尋の神隠し」を思い起こしたのです。
おそらく、集落に100人あまりの住民がいたときには、
この神社で祭祀も行われ、人々も集まってきたのでしょう。
でも、今は・・・。寂れて人がいません。
 
自分はほんとに坂井原集落にいたのでしょうか?
なにか、夢の中にいたような感覚に襲われます。
 
坂井原集落、本当に不思議なところでした。