※完レポです。ネタばれ嫌な方はブラウザバック!!
 
 
栄太「○○先輩。今帰りッスか?」
 
授業を終え、廊下を歩いていると、栄太くんが駆け寄ってきた。
 
「栄太くんは、今から野球同好会の練習?」栄「そうッス!って言っても、毎日、キャッチボールしてるだけッスけど」
 
栄太くんがにこっと微笑んだ。その時、2階から早見くんの声が聞こえてきた。
 
早見「吉良くん!大地くん!どこに行くんだよ!今日は掃除当番なのに……」吉「また、今度な!」大「真山ちゃん!代わりにヨロシク!」真「待て!高柳!誰も承諾してないぞ!」
 
2階から声が聞こえた次の瞬間、渡り廊下の天井に吉良くんと大地くんが飛び降りてきた。
「わっ……」
吉良くん達はそのまま天井を駆け抜けて、華麗に着地すると、裏庭に消えていった。
 
栄「ワイルドでカッコいいッスよね。吉良先輩達はケンカも強いッスから!」「前に白浜駅で、うちの生徒が黒崎奴らに絡まれているのを、吉良先輩達が助けてたんですよ!」
 
(駅前で乱闘騒ぎって、そういう理由があったんだ……)
私は顎に手を当てて、小さく頷いた。次の瞬間、校庭の方から轟くような怒鳴り声が聞こえてきた。
 
不良A「吉良ー!出てこいやぁ!」B「高柳ぃ!隠れてんじゃねぇぞ!」
 
私は胸によぎる不安を抱えながら、恐る恐る校庭へと向かった。校庭では10数人の黒崎の不良が校門を塞いでいた。私が校舎の影からそっと様子を見ていると、1人生徒が真っ直ぐ校門へと歩いていくのが見えた。
「真山くん!」
一触即発のムードの中、立ち向かったのは真山くんだった。だけどなぜか、その手には竹箒を持っている。
 
真「吉良なら帰った。貴様らも帰るがいい!」B「こいつ。吉良の仲間の真山とかいうヤツじゃねぇの?」真「仲間!?」
 
真山くんが竹箒を逆さまにして、柄の部分を地面にドンッと突き立てた。
 
真「仲間等では断じて無い!奴はこの俺に、掃除当番を押し付けたのだからな」A「訳、分かんねぇよ」B「吉良はマジでいねぇってこと?」
 
黒崎の不良達が、真山くん独特のトークにペースを乱されている。
 
「どうにか……。ケンカにはならなさそうだよね」
 
ホッと胸を撫で下ろしていると飼育小屋の方から私を呼ぶ声が聞こえてきた。
 
???「○○ちゃん……。こっちこっち」
 
哲さんは飼育小屋に隠れていたけど、そのリーゼントはしっかりと見えていた。
「哲さん……」
(何の用だろう……?)
 
 
<選択肢>
 
A.周囲を見る
○B.後ずさる……
C.視線を逸らす
 
(うーん。どうしよう……)
 
哲「今日は!付き合ってくれとか、そういう話じゃないんだ……」「大切な話なんだって」
 
哲さんの真剣な眼差しが、私を貫いている。
 
哲「英雄さんが……。今回ばかりはマジなんだ……」
 
……哲さんの話によると、どうやら加賀見さん率いる黒崎の不良が、本気で白浜を潰そうとしているらしい。
 
哲「○○ちゃんも気を付けた方がいいと思ってよぉ」石森「哲の言う通りだと思うよ」
 
爽やかな声が聞こえ振り返ると、石森くんが私の後ろに立っていた。
 
哲「俺は立場的に……。大っぴらに動けないからよぉ」「で、でもよ!○○ちゃんがピンチになったら、俺はいつでも駆けつけるからさ!」
 
哲さんが、嘘偽りの無い真っ直ぐな視線でそう言いきった。哲さんの言葉に胸の奥が熱くなる気がした。
 
「……吉良くん達、大丈夫かな?」石「ヒロキは簡単にやられるようなタイプじゃないからね」哲「まぁ、とにかく。気を付けてくれよな!」
 
哲さんは軽く右手を上げると、塀をよじ登って去っていった。
 
石「正門は危ないし、俺達は裏門から帰ろうか?」「……うん」
 
私は石森くんに軽く背中を押され、裏門へと向かった。
 
続く