※完レポです。ネタばれ嫌な方はブラウザバック!!
 
 
「あの、先日は危ないところを助けて頂き、有難うございました!」「それは……堅すぎだろ」
 
入江さんが困惑した顔で、私を見ている。
(うう。失敗しちゃったかな……)
 
「そんなクソ真面目な礼。黒崎じゃ聞けねぇな」
 
一瞬、困った顔を浮かべた後に、入江さんは柔らかい笑みを見せてくれた。切れ長の瞳が優しく光り、少年のように輝いている。
(入江さんって……。笑うと、可愛いんだ)
 
「ホント、変な女だな」「そんなことないです……」
 
入江さんは小さく息を吐いて、繁華街の向こうに視線を向けた。
 
「今、時間あるかよ?」「時間……ですか?」「吉良達捜して追いかけっこすんのダルいからよ」「時間潰すの付き合えよ」
 
入江さんが私の目も見ずに、ぶっきらぼうに呟いた。
「はい!」
思ったよりもすぐに返事をしてしまったことに、自分でも驚いてしまう。
「即答かよ」
入江さんが、今度は顔をほころばせて笑った。
(ついこの間、知り合ったばかりなのに)(2人でこうやって歩いてるのって……)
 
「……不思議だな」「あ、なんか言ったか?」
 
入江さんが首を傾げて、私の目を覗き込む。
「あっ……。いえいえ」
(わっ……。知らず知らずのうちに声に出しちゃったかも)
 
「すぐそこに、行きつけの店があるからよ」「あっ……。はい」
 
消え入るような声で頷いた私を見て、入江さんが少し困ったように頭をかいた。
 
真山「む?藤瀬よ。あそこに見えるは、○○ではないのか?」
 
(この声は……。ひょっとして、真山くん?)
振り返ると、ショッピングバッグを持った真山くんと藤瀬くんが後ろに立っていた。
 
真「隣の銀髪の男は……。黒崎最強最悪の男、入江」
 
真山くんがカッと目を見開き、私達を見ている。
藤瀬「グレたのか?○○」
藤瀬くんが荷物をスローモーションのように、地面に落とした。
 
真「こんな話を聞いたことがあるぞ」「夏に入ると純朴だった少女が、突如、非行に走る場合があると」「やがて、濃い化粧を施し、髪を染めるのであろう」
藤「とてもじゃねぇが……。耐えられねぇ」
 
真山くんの呟きを聞いた藤瀬くんが、苦しそうに胸を押さえている。
 
「ご、誤解だよ!そんなのないから!」
 
私は真山くん達に向かって、両手の拳をぶんぶんと振って訴えた。
 
「何、やってんだ?行くぞ」「えっと……。また今度、きちんと話すから!」
 
入江さんに呼ばれ、私は真山くん達を残し、その場を立ち去った。
真「……」藤「……」
2人が呆然と私達の背中を見つめているのが分かる。
(真山くん達……。絶対、勘違いしてるよね)
それから私は、入江さんに連れられて、繁華街の奥にある喫茶店へと向かった。
 
木の優しい香りが漂う喫茶店のドアを開けると、“カラン、コロン”とカウベルの温かい音色が鳴り響いた。
コーヒーの深く香ばしい匂いが、鼻をくすぐる。
「そこ、座れよ」「……はい」
入江さんに誘われ、私は奥の席にチョコンと座った。
 
「俺はブレンドだけど、アンタは?」「私はミルクティを」
 
入江さんは手慣れた様子でマスターに注文し、ふかふかの椅子にもたれかかった。
店内にジャズのピアノ演奏が鳴り響く中、入江さんは、視線を落として、レコードから流れる旋律に耳を傾けている。
「……」「……」
(ち……。沈黙が重いよ)(何か話すことないかな……?そうだ!)
 
<選択肢>
 
A.好きなタイプは?
B.血液型は?
○C.ご趣味は?
 
見合いかよ!って突っ込みながらCを選ぶw
 
そして更に続く