続きです。完レポなんでネタばれ嫌な方は回れ右ヘ(゚∀゚*)ノ
不良A「おい、そこの女。お前、白浜だろ?」 B「吉良と高柳って知ってっか?」
(吉良くんと大地くん……)
黒崎高校の制服を着た茶髪の不良とあごヒゲを伸ばした不良が、私を睨みつけている。
B「その顔、知ってそうだな?」
あごヒゲの不良が、私の肩に手をかけた。
「えっと……。その……」
(あまり余計な事を言わない方がいいかな……)
A「それより、お前。白浜の女にしては、可愛いよな」 B[白浜の女って田舎臭いのが多いからな。ははっ!」
(黒崎の不良の人って……白浜を馬鹿にしているところがあるよね……)
「……私、もう行かないといけないんで」 A[つれねぇこと言うなよ。なぁ携番教えろよ。今度どか、遊びに連れてってやるから」
茶髪の不良が私を外壁に押しつける。
「や、やめてください……」 入江「……おい。手ぇ、離せよ」
スチルキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
夏の空気を一瞬で凍らせるような冷たい声が、通りを駆け抜けた。
A[入江さん!」
(入江さん……?)
茶髪とあごヒゲの不良ふたりが、後ろに飛び跳ねるように下がり、脅えたように視線をさまよわせている。
(同じ黒崎高校の人なのに……。すごく、怖がってる)
入江「女、ひっかけにきたわけじゃねぇだろうが」
入江さんがあごを上げながら、茶髪の不良達を睨みつけている。
A[で、でもですね……。この女が何か知ってそうで」 入江「ガタガタ言ってんじゃねぇよ。ボケが」 「ダセー真似してんじゃねぇって言ってんだ。ああ?」
入江さんが鋭い眼差しを向けながら、茶髪の不良の首をつかみ上げた。
A[す、すんませんっした……。勘弁してください」 入江「とっとと失せろ。ザコが」
入江さんが乱暴に手を放すと、茶髪の不良達は足をからませながら、一目散に逃げ出して行った。
(た、助かった…)
安堵のため息とを漏らした途端、緊張で強張っていた膝が震え、足の力が抜けてしまった。
「……あっ」
入江さんがそっと手を伸ばし、崩れ落ちそうになった私の体を、無言で受け止めてくれた。指先から感じる温かい体温が、一瞬で、体を突き抜ける。
(入江さんの指先……あったかい……)
痛いほどに締め付けられていた心臓が、少しずつ高鳴っていく。
(何だろう……?すごく不思議な感じ……)
入江「……アンタ」
不良を一喝した時は冷たい眼差しだった、入江さん。だけど間近で見るその瞳は、湖のように澄んでいて、見とれてしまう程だった。
(入江さんの瞳って綺麗だなぁ……)
入江「大丈夫かよ」
言葉を失っている私に向かって、入江さんが不思議そうに声をかける。
「はい……。すみません」
うつむいてる顔が、一瞬で真っ赤になっていくのが分かる。
(わわ……。そう言えば抱きとめられたままだった)
入江「アンタ。白浜の女だよな?」 「あっ……。はい。そうですけど」
私は、入江さんの瞳を直視する事もできずにそう答えた。
入江「もう少し、周りのこと。気を付けろよな」
入江さんが私の目も見ずにそう言うと、抱き止めていた手をそっと離そうとした。
「周りのこと……?」
だけど、その次の瞬間。
石森「○○。頭下げて」 「……え?」
石森くんの鋭い声と共に、鮮やかな右ストレートが風を切った。入江さんは、石森くんの拳を片手で受け止めている。
「石森くん!?」 入江「白浜に転校して来た、金髪の石森か……」 石森「そんなダサい覚え方、して欲しくないんだけど」
入江さんが倒れないように気を遣いながら、私の体をそっと離した。
石森「その子に何か用?」 入江「ああ?何、勝手に熱くなってんだ?てめぇ」
入江さんの視線が氷のようにとがっていく。そして、入江さんは胸のあたりでサッと拳を構えた。
(石森くん、私がからまれたと思ってるんだ!?……止めなくちゃ)
選択肢
A声をかけよう!
○B割って入る!
C様子を見よう……
「違うの!石森くん!」
拳が放たれようとした瞬間、私はふたりの間に割って入った。
石森「○○!」 入江「くっ!」
石森くんと入江さんはギリギリのところで、拳を止めてくれた。
「あの……。からまれてたんじゃなくて……。助けてもらったの。えっと」
(確か入江さんだったよね?)
「……入江さんに」
私は一瞬、入江さんに視線を移した。
石森「そうなの?」
石森くんは一瞬、バツの悪そうな顔をして、うつむいた。
石森「……悪い。入江」 入江「お前らには関係ねぇ。黒崎の問題だからよ」
入江さんがそう言いながら、面倒臭そうに髪をかきあげた。
「えっとね。あの……」
それから私は、石森くんに事情を説明した。
石森「マジでごめん!入江!」
石森くんが真剣な瞳で、礼儀正しく頭を下げた。
「あ、あの……。ありがとうございました!」
私は石森くんの隣で、石森くんと同じように頭を下げた。
入江「別に……。礼を言われる事はしてねぇから」 「で、でも……」
頭を上げた私を、入江さんが横目で見ている。
入江「変な奴ら。調子狂う……」
入江さんはそれだけ呟くと、ただ黙って風に吹かれていた。
(見た目はすごく怖そうだけど……。悪い人じゃないのかな?) 入江「なぁ、アンタ」
厳しい視線に戻った入江さんが、首を傾げながら私を見ている。
「は、はい」 入江「うちのモンが吉良とか高柳を探してっけど、知り合いならしばらく近づくんじゃねぇぞ」 「えっ?」
入江「巻き込まれるからよ」
入江さんがそっぽを向いたまま、小さくつぶやいた。
入江「アンタ。ドジそうだから」 「ド……ドジ!?」 石森「まぁ、確かに……。○○はドジっ子なところがあるかもね」
石森くんがククッと可笑しそうに笑った。
「もう……。勘違いして入江さんに殴りかかった石森くんに言われたくないよ」
私はギュッと両手を握り締めて、石森くんに言葉を投げた。
石森「え?なんのことだっけ?」
石森くんは”嘘なんかついていない”といった顔で、くすぐるように微笑んだ。
(も、もう……)
入江「さっきまでビビってたのに、コロコロ表情変わるのな。変な女」 「えっ……?」
入江さんの頬が一瞬、ほころんだ気がして、私は目を疑ってしまった。
??「入江、何やってんだ!?行くぞ!」
後ろから、低く太い声が響いてくる。振り向くと、そこには鋭い目つきをした大柄の男の人が立っていた。
入江「英雄さん……。ああ、すぐ行くからよ」入江さんは私を一瞥すると、背中に夕陽を背負って歩き出してしまった。
まだ足りないっていう(;´▽`A`` 続きます。もう少しで終わり