【アンドロイドは電気羊の夢を見るか?】

古典SFとして非常に有名なこの作品.

概要や感想を示す.ネタバレは極力含まないように注意している.

 

・概要

この世界のアンドロイドは火星で製造され,非常に人間に似た見た目や知能を備えている.

しかしながら,大部分はいわゆる奴隷として扱われており,一部は荒廃した地球へと逃げてくる.

主人公であるリック・デッカードは,そうした地球へ逃げて来るアンドロイドを狩る,〈賞金稼ぎ〉である.

逃亡者リストに沿ってアンドロイドを狩っていくのだが,そのなかで「人間とアンドロイドの境界とは何か」について主人公は考えさせられる.

 

・レビュー.

やはり,この小説を特徴づけるテーマは,「高度に発達したアンドロイドと人間との境界」にあろう.

この世界のアンドロイドは,知的だが共感能力に欠けている存在である.

それを狩り続けるうちに主人公リックは,自分自身がアンドロイドなのではと倒錯し,読者までもがアンドロイドと人間の境界線を無意識に考えてしまう.

そのように誘導させる著者の力量には感服である.

さらに,この作品のテーマは,近代社会における奴隷制度や,現代社会の差別や迫害といった問題に置き換えることができるだろう.上記の一連の思考が,身近な問題の批判にもつながっているように見受けられる.

 

映画化もされている本作品.ぜひ一読してフィリップ・K・ディックの世界観やメッセージを感じてほしい.