「ちょっと坂本さん、直ぐに受付に来てください」
大手家具店の本社ショールームに勤めて二年が過ぎた頃。
週2日のパートタイムで始めた販売の仕事に
ようやく慣れた時期でした。
店長が、少し慌てた様子で私を呼びました。
夫婦で来店したお客さまが、大きな建築図面を
抱えていたため、店長は私を呼んだのです。
お客さまは家を新築中で、
その新しい家に揃える家具を見にいらしたのでした。
あまりにも大きな図面なので、
大邸宅を建設中なのだと想像されました。
本来ならそのようなお客さまは、
トップセールスの正社員が担当するのですが、
建築士の資格を持ち、トータルでインテリアを
ご提案して成果をあげていた私に
まずは担当させようと思ったのでしょう。
受付でお会いしたお客さまは、50代のご主人と
30代半ばに見える女優のように美しい奥様。
キラキラと輝いた、見るからにセレブなご夫婦でした。
図面を拝見すると敷地もとても広く、建物も大きい。
それはそれは素晴らしい大邸宅です。
私はそんな大邸宅のインテリアを
担当したことはありません。
私で大丈夫なのだろうか・・・
ちょっぴり不安も湧きました。
私の勤めてた家具店は、マンツーマンで接客をおこないます。
一組のお客さまに一人の販売員がついて、
広いフロアをご案内し、商品を説明していくシステム。
ドキドキしながらご夫妻をご案内し始めて
少し経ったときに、ご主人さまが突然こうおっしゃいました。
「申し訳ないが、僕たちはここで家具を買うつもりはないよ。
家具を含めたすべてのインテリアは、
アメリカの有名なインテリアデザイナーにお願いしているんだ。
今日はたまたま近くを通ったので参考までに
寄らせてもらっただけなんだ」
後に私の運命を変えるほどお買い上げいただく
この商談は
最初は「断り」から始まったのでした。
・・・つづきます。明日も読んでくださいね
※文中の画像はあくまでもイメージです
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