◇認知症を遠ざける方法◇
高齢者約1万4000人のデータに基づく研究によると、
一日の歩行時間が長いほど認知症発症のリスクが下がる傾向があったそう。
■認知症予防の基本は「血液サラサラ」
認知症予防の基本となるのは、高血圧や糖尿病などの予防にもつながる
「血管を丈夫にして、血流を良くする」生活習慣です。
脳にまで十分な酸素や栄養が届けられれば、年を重ねても
生き生きとした神経細胞を維持しやすくなり、認知症を遠ざけることができるのです。
もちろん、さらに効果的に予防するには
「認知症」の原因をより意識した対策を講じることも大事です。
両方を併せて行えば、まさに鬼に金棒。
生活習慣病の予防のためにも、認知症の予防のためにも、
まず第一に私がおすすめしたいのは「有酸素運動」です。
■有酸素運動が「脳に良い」理由
有酸素運動というのは、酸素を使いながらある程度の時間をかけて行う運動のこと。
ウォーキングやサイクリング、エクササイズなどはすべて有酸素運動です。
ちなみに無酸素運動というのは、酸素を使用せず、
短距離走や筋トレなど筋肉に対して瞬発的に高い負荷をかける運動のことです。
なぜ、有酸素運動のほうをおすすめするのかというと、
酸素を使う有酸素運動は血行を良くする効果が非常に高いからです。
脳に十分な血液が流れれば、栄養や新鮮な酸素がたっぷりと送り込まれるので、
脳の細胞も活性化します。
体力にあまり自信がない人でも気軽にできるのは、なんといってもウォーキング。
気軽であるだけでなく、ウォーキングによって、脳(海馬)の血流が増加することが、
東京都健康長寿医療センター研究所のラットを使った実験でわかっています。
■「歩く高齢者」は認知症になりにくい
ウォーキングによって脳の血流がよくなることが、
認知症予防にもつながっていることを示すデータも、近年多く出ています。
30分から1時間未満という人たちが認知症になる割合も、
30分未満しか歩かない人たちに比べると19%程度少なく、
一日の歩行時間が長いほど、認知症発症のリスクが下がる傾向が示されたのです。
毎日の歩行時間が日本における認知症発症の予防に
多大な影響を及ぼしていることを示唆している」と結論づけています。
■まずは一日30分、週3日からでいい
大事なのは運動を継続することです。
「毎日1時間歩くぞ」と張り切って始めたとしても
三日坊主で終わってしまっては意味がありません。
週に3〜4回程度、一日30分以上を目安に始めてみるといいでしょう。
あまり大げさに考えなくても、エスカレーターやエレベーターを使うのをやめて
階段を使うようにするとか、
2日に1回は一駅前で降りて歩く距離を稼ぐ、という方法もあると思います。
無理のないゆっくりとしたペースで歩くことを心がけてください。
■認知機能の低下を抑制する「コグニサイズ
国立長寿医療研究センターが認知症予防を目的に開発したのが、
運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた「コグニサイズ」です。
英語のcognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせた造語ですが、
軽度認知障害の段階でこのコグニサイズを実施すると、
認知機能の低下を抑制することが明らかになっています。
具体的なやり方が紹介されたパンフレットを見ると、ウォーキングにしりとりや計算などを
組み合わせた「コグニウオーク」なども紹介されていますので、
楽しみながらウォーキングをしたいという方は参考にされるといいでしょう。
「コグニサイズ パンフレット」で検索するとヒットするパンフレットには、
ほかにも高齢者でも無理なく取り組めるプログラムがたくさん紹介されています。
■身体を動かし、夜ぐっすり眠る効果
有酸素運動が習慣になると、足腰の筋力が鍛えられる、心肺機能が向上する、
活動量が増えることで食欲が増して必要な栄養をしっかり取れるようになるなど、
健康長寿につながるさまざまなメリットを得ることができます。
認知症の予防という観点からすると、
「夜よく眠れるようになる」というメリットも見逃せません。
脳内のゴミの排出はその大半が睡眠中になされることは以前からわかっていました。
入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などがあって睡眠が不安定な人は、
睡眠が安定している人に比べてアルツハイマー型認知症の原因物質となる
アミロイドβの蓄積が5.6倍も多くなることがわかりました。
また、睡眠不足は高血圧や糖尿病のリスクを上げるという報告もあり、
生活習慣病の予防という観点から見ても、
良質な睡眠をしっかりと取ることは非常に有効だと言えるでしょう。
具体的には夕方以降のカフェインの摂取を控える、
寝る直前の1時間はスマートフォンを触らないようにする、
起床後2時間以内に太陽の光を浴びて体内時計をリセットすることなどが、
睡眠の質を上げるポイントだと言われています。
