59. get in the train [英]と get on the train [米]
私が大学文学部英文科を卒業した昭和29年(1954年)、高校英語教師を始めた時、プロの英語教師として、英米の専門誌に目を通して、これはと思われる論分野論説を読んでいなくては、ということで、英国刊のEnglish Language Teaching(年4回)、米国のLanguage Taeching(年4回)を、前者はBritish Council Libraryで、後者はAmerican Cultural Centerで読んだり、ノートを取っていたものである。
今言及した「English Language Teaching」のある号に、本見出語の語法を取り上げて興味深い解説を加えていた。その内容は数十年経った今でもよく覚えているので、紹介ておきたい。
私が初めて英国を訪れたのは昭和45年(1970年)頃であった。ロンドン市内ならどこでも地下鉄でまわれたが、郊外や地方都市へは英国の(当時は国鉄であった)British Railwayに乗って行ったものである。
その頃の英国の列車の車両は、いわゆるコンパートメント式であって、一車両の内部に25くらいの小部屋があり、各小部屋には6名くらい座れるようになっているが、通路はなくて各コンパートメントの出入口は、プラットホームから入ったり、そこへ出る扉があり、一車両の扉の数はコンパートメントの数である、ということは25くらいの扉があったのである。こういう列車に乗り込むのは、get on ~ではなく get into ~かget in ~と表したい心理が当然働いて、そう表現しているのであった。
[付]列車内の通路のことを表す英語は
この通路に当たる英語は、飛行機内のものも教会内のも同様で、aisle(アイル)である。
60.<get in+自動車系乗り物>と<get on+自動車系乗り物>
同じ自動車系乗り物でも、狭い空間の中に身をかがめるようにして乗り込む乗り物と、それよりはるかに大きなバスに乗るのとでは、getに続く前置詞が違うのである。乗用車やタクシーに「乗り込む」のは、いかにもその狭い内部(into)に乗るので、get into ~の形を取り、バスの場合は get on ~の形で表す。
・get in, get out of+乗用車、タクシー
・get on, get off+バス