47.1.go down to Tokyoと go up to Tokyo
旧制都立中学で、戦時中もあった英語の授業で、「『上京する』というのは、元々日本の都(みやこ)であった京都へ行くことで、『上洛する』とも言っていた。明治維新以降は東京に行くことで、これを単に go to Tokyo ですましても良いが、go up to Tokyo と表して、日本語の『上京する』の<上>と英語の up が一致して面白いですね」と習ったものである。
そしてそれで、私の場合、昭和35年(1960年)まで来たわけであるが、その年ELEC英語研修所の指導主事兼研究員に任命され、早速、春期東北六県英語指導者研修会に招かれて講演に行った時のことである。
英語の研修事業であるという性格上、当然研修の担当講師はネイティブ・スピーカー(地元の東北学院大学や宮城女子学院大学に米国人教師約8名)が担当していたので、私は依頼された出講日より2、3日前に出かけ、米国人講師の研修ぶりを参観したのである。日本人中高教員の音声口語英語力を改善するため、というのがこの時の研修会の目的であったので、日本人参加教師に発音させたり、簡単な英文を発話させたりしていた。
よく知られているように、未来の予定行動を表す時に良く使われている be going to~を使って簡単なことを、当たった参加教員は口頭でどんどん作って言う作業で、ある一人の参加者(trainee)が当たった(be called upon)時、こう言ったのであるが、
・I'm going to go up to Tokyo.
これに対し、ネイティブ・スピーカーに、次のように直された(be corrected)のである。
・I'm going to go down to Tokyo.
[続く]