30.1.(a)西欧社会は週給が主流



明治時代には、開国後間もない日本は先進国の文明に追いつくために、多くの若者がヨーロッパ、英国、米国に派遣されたのであった。そして彼らは現地での観察、体験をかなり詳しく細かく記録していたのである。そういうのを読むと、いろいろと比較文化的資料が見つかって興味深いものである。


夏目金之助(漱石)などのそういう日記やメモを読んだことがあるが、ロンドンやベルリンに下宿してた時、下宿代、電気代、ガス代、水道代などを週単位で払っていたことが分かる。


日本では、アルバイトの人は時給なり日給であるが、西欧(英米)の多くの人は、今日も正規雇用でも週給の人(weekly pay)が大勢いるのである。そのことを知ったのは、1974年と1975年に私はメルボルン大学の教授であったのだが、1974年3月1日から講義を持ったのである(オーストラリアは秋は3月~5月であるから、学年は3月1日に始まり、11月に終わり、12月~2月が夏休みであった)。そして、1ヶ月経って最初の月給を受け取りに本部会計課に行くように言われ、行ってみると、会計課給与係の窓口が3つあって、下記のようになっていた。


     3         2        1

  Daily wages   Weekly pay   Salary


私はこれらの3つの窓口のどこに行けばよいのか少し迷っていると、そこへ1人の男性が入って来て、私に話しかけてきたのである。


A(administrator):Any problem? May I help you, sir?

O:Well, I'm not sure which window I should show up to.

A:Waht do you do here?

O:I'm a professor newly appointed this school year.

A:Oh, professor. Then go to window 1, sir.

O:I see. Thank you. I appreciate your direction.

A:Pleasure.