27.1.「職業欄」
海外旅行に出かけるごとに、出国用紙や入国用紙に氏名、国籍、年齢(誕生日)などを英語で記入する欄があり、その中に必ず「職業欄」がある。この「職業」という一般名詞に当たる英単語はなんであろうか。私の教えていた大学生たちは、jobとかworkだと答える者が多いのであるが、これは単に「仕事」という意味であって、少し軽々しい響きの語である。「職業」というもう少し重々しい響きの語は、“occupation”である。
【注】occupationとprofession
occupationという語に関連して、professionという語を思いつく人もいるはずである。professionとはoccupationのごく一部分の種類の職業である。例えば、医者、大学教授、裁判官、弁護士などである。
27.2.専業主婦もoccupationである
日本の家庭にまわってくる何かの用紙(form)-例えば、実態調査用紙とか申請用紙には夫なり妻の職業を記入する欄がある。専業主婦の場合、その欄には「無職」と記入しているのが普通であるが、英語ではhousewifeと記入している。このことに気付いた私はある時、英語のoccupationと日本語の「職業」とは、意味上のズレがあるからだ、と思い至り考えてみた。
日本語の「職業」は、給与の出る仕事であるのに対し、英語のoccupationは、一日の時間(24時間)のうちかなりの時間をかけてしていることであり、必ずしもそれに対して支払いが伴っていないこともある、というわけである。
同様にして、学校の生徒や大学の学生もoccupationの部類である、と言ってよい。