24.1.How do you do? は堅苦しい「初めまして」である
戦時中の旧制中学校(都立九段中)の生徒であった時、初対面の時の英会話などは特に習わなかった。
ただ一つ<街で人に道を教える英語表現>だけが英語のリーダー(読本)のBOOK1の終わりかBOOK2の始めの一課をなしていただけであった。
私の旧制中学校生活は、終戦の日(昭和20年(1945年)8月15日)から後半に入ったのであるが、終戦の年の秋には占領軍として米軍が日本に駐屯し始めたこともあって、急に英会話(人によっては米会話と呼んだのである)ブームになって(小山田注)、際物(きわもの)の薄い小型英会話マニュアルがいくつも刊行されたものである。
それらのいくつかは、私も記念のために買っておいたので、私の書庫のどこかにあるはずである。時代が悪かったので、粗末な紙を使っていたので、もうすっかり黄色くなってしまっているはずである。
こういう英会話の本の始めには、必ず “How do you do?”(初めまして)が出ているのである。そして2度目に会ってからは “Hello.”ですませる、と出ているのである。
しかし私の体験では、初対面でも多くの人は “Hello.”ですませていて、なかには初対面でも “Hi.”ですませている人々、特に若者が多いのである。
次回の24.2では、“How do you do?”であろうと“Hello./Hi.”であろうと、それに続く決まり文句を取り上げることにする。
注:1946年(昭和22年)から5年間放送された、NHKアナウンサー平川唯一氏によるラジオ番組『カムカム英語』が人気を博しました。