15.1.S was born and brought up in ~
「Sは ~ で生まれ育った。ま」に当る英語の決まり文句である。
英米で講演会や夕食会などで、講演者や指定説話者などが紹介される時に、よく効く紹介文の中でよく使われるものである。
born and brought up とb音が至近距離で2回響いていて、いわゆる頭韻をふんでいることも、このフレーズが決まり文句化しているわけの一つであろうか。
15.2.多義語 home
この語は文脈によっていろいろな意味を表わしている。普段英和辞典を引くことをしない私であるが、ここでは英和辞典でどういう訳語を載せているのか、抜き書きしてみる。
「生地」、「故郷」、「生家」、「故国」、「自国」、「住居地」、「家」、「家庭」など。
「生家」「家庭」にいると、誰しもくつろいだ気分になれる。そのことから〈くつろぎを感じる〉、〈くつろぐ〉という意味を表わす英語のフレーズに home を含んだものがある。
feel at home / make yourself at home / など
15.3.hometownという語
私の戦後の英語体験史において、私はかなり数多くの機会にこの語を見聞きしてきたかとか。
ところで今回、この項を取り上げるために、いくつもの英英辞典に当ってみたところ、この語を登載していない辞書がいくつもあるのは意外であった。
イギリス英語よりアメリカ英語のほうでより多く使われていることは知っていたが、あのアメリカ英語の英語辞典でも登載していないものがいくつかあったのである。
hometown の意味は、〈自分の生家がある町〉という意味の他に〈いま住んでいる町〉の意味でも使われている。
ある米国人言語学教授の家があるところはテキサス州のサン・アントニオ市であるが、私との共同研究のために世田谷区成城町に1年間住んでもらったことがある。その彼とある会合に一緒に出た時のこと、だれかが Where’s your hometown? と訊いたのに対し、 in Seijo in Tokyo と答えていたのである。