7.1 That’s my schoolour school

 少し(あるいは遠い)距離をおいたところに学校の校舎が見えているとする。それについてどういう建物なのか知らない人に説明する人(たぶん生徒)はThat’s my school.という場合もあれば、That’s our school.という場合もある。

 my schoolと一人称単数で言う時は、説明する生徒が1人で、他にはその学校の生徒がいない場合である。our schoolと一人称複数で言う時は、他にもそこに同校の生徒がいる場合である。

 なぜこんな基本的なことを、くどくど取り上げたのかと言うと、昔ある英語の参考書に、That’s my school.と言えるのは、その学校の校長か私立学校なら経営者に限る、と記してあったのを読んだ憶えがあるからである。こういう解説は、myは<所有格形>であるこの<所有>にとらわれたためであろう。


7.2 Is that your building?

 私は文部省に22年も勤めていたのであるが、そのオフィス(英語調査官室)に私を訪ねてくる英米人が少なくなかったのである。いきなり訪ねてくるというよりは数日前なり前日に、あるいは当日の午前に電話があって、その日の午後とか夕方訪ねてくることもあった。あるいは至近距離にある地下鉄の虎ノ門駅か霞が関駅の改札出口のところで待ち合わせることも多かった。そういう時私が先導して地上に出ると、すぐ近くに茶色い古いビル(4階建)が建っているのが見える。そんなある時、その英国人(か米国人)は私に聞いたのであった。

 ”Is that your building?” 

 これを日本語に直訳すると、「あれはあなたのビルですか?」となるが、私がビルのオーナーであるはずもない。そうではなくて、これは「あれはあなたが働いているビルですか?」ということであり、これを英語にすると。

 Is that the building where you work?

 Is that the building which you work in?

 Is that the building where your office is?
 
 Is that where your office is?

 などと表せよう。したがってIs that your building?は一種の略式表現であり、それで誤解がないと思えた時に使った表現であったのであろう。
 
 日常会話とはそんなものなのであろう。