5.1. 「きょうだい」
日本語の「きょうだい」という語は考えてみると意味用法に興味深いものがある。
というのは「きょうだい」という語は漢字「兄弟」と書けば男のきょうだいのことになるが、ひらがなで表わせば性別が薄らいで、姉、妹も入るからである。
つまり日本語の「きょうだい」はbrother(s)のこともあればsister(s)のこともあり、更にはbrother(s) and sister(s)のこともある。
ここで注意すべきことは、英語では「兄」=brother、「弟」=brother、同様にして「姉」=sister、「妹」=sisterと普通は表わしていて、それで済ませていて年上、年下ということについては強いて表わさないのが普通なのである。
つまりbrother、sisterにolder、youngなどの形容詞はあまりつけずに表わしている。
もっともmy big brotherとかmy little sisterという言い方はよく見聞きする。これは別に体の大きさを言っているのではなく、心理的なことからきているのであろう。
5.2. 「きょうだいがいますか」「きょうがいがいない」に当る英語
早大、慶応大、東大などでの私の講義の一部は、<基礎英語の学び直し>に当てているのだか、上記の項目に対する学生の表現は次のようなものであることが多い。
(а)Do you have a brother?
(b)I don’t have a brother./I have no brother.
しかし、これでは不十分でsister(s)のほうはどうなのか、無関心でいることになる。
5.1で解説しておいたように日本語の「きょうだい」は男性女性両方を含めたものであるから、sister(s)のことも含めないとおかしい。
このことから、(а)(b)は次のように改めて表わしている。
(а)Do you have a brother or a sister?
(b)I don’t have a brother or a sister.
I have no brother or sister.
[付]「あなたは何人きょうだいですか。」
このことも大学生たちは How many brothers do you have?とあらわしているが、
How many brothers or sisters do you have?
とするべきである。