1.3 「親友」に当る英語

 戦前や戦後しばらくの頃に刊行されていた多くの英語参考書では、「親友」= intimate friendと表されていたものであるが、intimateは「ねんごろな」とか、更には「性的関係のある」という含みさえあるので、この形容詞は使わない方がよいというネイティブ・スピーカーがいる。代わりにcloseという形容詞が使われている。なおこcloseの発音は[クロウス]であって[クロウズ]ではない。



1.4 (а) 「ガール・フレンド」「ボーイ・フレンド」

 このカタカナ語は英語では一語扱いでgirlfriend/boyfriendと書いていること、またその発音はそれぞれ前半に強勢をおいて、

      /       /  
    girlfriend/boyfriend 

と言っていることなどを改めて解説してむいた私の英語授業中でのことであった。それは慶応大学経済学部2年次向きの教養英語であった。そしてその具体例として

 Mr Ogasawara has several girlfriends

と私は言ってみたのである。もちろん冗談的にではあった。

 すると1人の男子学生が、挙手をして次のように発言したのである。

 「小笠原先生、先生の英語の授業は、日常英語、生きた英語をとり上げているので、僕は気に入っているのですが、いまのseveral girlfriendsはおかしいのではないですか。複数のgirlfriendなんて…。」

 つまりカタカナ語「ガール・フレンド」と違って、ある男性のgirlfriendは1人しかいない。つまりいわゆる「ステディ」のことであることを、同君は言いたかったのを、私はすぐに察知したのである。

 この男子学生(都倉君)は音楽家である都倉俊一氏の弟であり、都倉兄弟は父・都倉大使の息子であり、父親の英語圏での勤務について行って現地で何年か暮らしてきた帰国子女であるのを知っていた私は、現地での英語体験ということでは、その当時の私より有利な立場にあったので、girlfriendの数のことでは同君の英語知識に従わなくてはいけなかったのである。


 1.4 (b) her girlfriendsとは? 

 girlfriendと言えば、その子と交際している男性が思い起こされる(boyfriendについても同じことが言える)。ところが米国の映画や小説などの中にher girlfriendsという表現が使われているのに気づいた時は、一瞬違和感があったものの、そういう場合があるのだと、すぐ納得したのであった。