サリー・ビーミッシュ:ヴィオラ協奏曲第2番《船乗り》(2001)[日本初演]  ヴィオラ/タベア・ツィンマーマン
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27

オランダ人指揮者のレネス、若手なのかと思いきや、年齢もキャリアも中堅といったところか。キビキビとした指揮ぶりから出てくる音楽には奇をてらったところが全くなく、すっきりとして見通しがよい。強奏部でも決して力まずフレーズを次の展開へと推し進めていくところや、感傷的になりすぎず自然なテンポで音楽そのものに歌わせているようなところも好印象。ラフマニノフでは特にこうしたレネスの長所がよく伝わってきた。都響も明晰で堅実なアンサンブル。今日私が聴いた2階席中央3列目(当日券で運良く空いていた!)では全体のバランスも良好。弦の動きを管打がマスクすることもほとんどなかった。

タベア・ツィンマーマンが弾いた初演曲は最初から最後まで陰鬱とした雰囲気で、各フレーズが短く、歩いては立ち止まり、また歩いては止まりの繰り返し…。本当にこれでヴィオラの良さが出ているのか?終始疑問に感じつつ聴いていた。が、最後まで聴き終わってみると、そのストーリー性が不思議な感触として印象に残る。ヴィオラの音色の雄弁さという部分では堪能できた…かのような印象。

結局のところ、彼女のヴィオラ奏者としての本領はアンコールで弾いた2曲に凝縮されていたように思う。客席も大いに盛り上がった。