ファイナルがいよいよ始まります。
Sean Chen, 24, United States
Fei-Fei Dong, 22, China
Vadym Kholodenko, 26, Ukraine
Nikita Mndoyants, 24, Russia
Beatrice Rana, 20, Italy
Tomoki Sakata, 19, Japan
コンテスタントたちは、モーツァルトまたはベートーヴェンから1曲と、自由曲で1曲、計2曲の協奏曲を2夜にわけて演奏します。共演は、レナード・スラットキン指揮のフォートワース交響楽団。このコンクールでは、上位3名にゴールド、シルバー、クリスタルメダルが授与され、その他にはファイナリストのディプロマが与えられます。以前はファイナリストには3位以下も順位がついていたのですが、ここ何回かは今の形です。これだけの戦いを勝ち抜いた上位6人なのだから誰が見てもわかりやすい称号を出してもよいのに、と思ったりしますが、いろいろ意図があるのでしょう。
それにしてもこうして若いピアニストが一同に会している現場では、演奏はもちろんそうですが、人物のキャラクターもそれぞれで、つくづくいろいろ考えされられます。以前浜コンのときにオニシチェンコさんが「コンクールは人生の縮図だ」なんて言っていて、大袈裟だなぁとちょっと思いましたけど、一理あるなと。コンテスタントもいろいろ、そこに審査員やら先生やら、事務所やらレコード会社やら、ビジネスの局面も関わるのですから、人生というか、社会の縮図ですね。純粋な芸術的イベントとは程遠いかもしれません。
例えば他人からの期待について、それによって力を発揮する人、そもそもあんまり気にならないと言う人、じわじわとプレッシャーを感じでストレスをためる人と、いろいろですね。それから、結果発表の後のリアクションについても、仕方ないな!とあっけらかんとしている人(デルジャヴァンさんなんかは、人の輪の中でおしゃべりに花を咲かせている感じでした)、静かに憤る人、悲しむ人、深く傷ついた表情を見せる人といろいろです。そんな中で、この結果発表の瞬間に今回改めて感じたのは、彼らはこの瞬間に、人が離れていく恐怖を経験しているのだなぁということ。これまでもいろいろなコンクールで、良い結果を残せなかったコンテスタントにはなんと声をかけたら良いのか困るのと同時に、やはり取材をする身としては“勝者”も追わなくてはいけないわけで、自分自身も良い判断ができないことが多かったのではないかと思い返します。いろいろ、思い出されるよなぁ。良い演奏ができなかった、結果が出なかった、それで離れてゆくのは、ビジネスとか市場の原理で言えば当然のことですけど、やっぱりどこか辛いですね。彼らは冷静に見てます。まぁ、そんなナイーブなことを言っていては、演奏家のような厳しい世界では渡っていけないかもしれませんが。人の信用というのは、失うと取り戻せないもんですし。音楽家ってめんどくさいほど繊細で敏感…とも思いますが、それがあの音楽の源と思って、今後もありがたくビビらせていただこうと思います。
で、前にぶらあぼFBに載せた終演後コメントにあったとおり、「他人からの期待もわりと気にせず行けるタイプ」の阪田さんなんですが、日本人唯一ということでますます期待が寄せられているでしょう。地元のマダムたちからはかわいいキャラで愛されている模様です。思い起こせば去年の秋のこれまた浜松コンクール、最初に気にかかったのは、演奏順抽選のときに手袋をしていて、くじを引くときだけ外し、終わったらまたすぐに手袋をしなおしていたことだったでしょうか。よほど神経質な人なのかと思い声をかけると、「なんか前に本番直前に指を虫に食われちゃったことがあって、それ以来できるだけ手袋してるんですよ、あはは!」と。あれ、なんか想像してたのと違うぞ?という、あっけらかんとした答えが返ってきたのでした。ちなみに今回は手袋をしているところは見ません。まぁ、この暑さですしね。というわけでこれまで幾度かコメントをもらうときにも何か予想と違うリアクションが返ってくることが多く、心の中でツッコミつつ、一人でじわじわ楽しんでいます(時々書いちゃうときもあるけど)。一昨日の結果発表のあとも、なんだか髪型がキマっていたので、今日はヘアスタイル良い感じに決まってますけどセットしてきたんですかとしょうもない質問をしたら、「違うんです!これは偶然なんです!全然そういうんじゃないです!!」と全力で言われて、そんなに必死に否定しなくてもいいトピックスだと思うけど、なんかツボにはまったのか?と、ひとりいぶかしく思っていたのでした。どうでもいいことなんですが、おもしろいな。
ところで昨日はZoo Partyでした。本選前の恒例行事で、審査員、ホストファミリーやボランティアのスタッフ、コンテスタント、プレスなどいろいろな人が集まり、テキサス風のバンドの演奏を聴きながら、テキサス風の料理を食し(アルコールにはマルガリータも用意されていました)、テキサス風にバンダナを身に着けて、パーティーを楽しみます。ファイナリストはあまり見かけませんが、その他のコンテスタントでまだ滞在している人は、リラックスした感じで参加していました。
そしてパーティーの途中にはコンテスタントが最初の日にサイズを測っていたウエスタンブーツを受け取ります。こういうのは基本ギュウギュウのようで、みんな「きつい」という顔で試着をしていました。
「きつい」(1)
ジェイソン・ギルハム
「きつい」(2)
エリック・ズーバー
「みんな揃って」
さて、ファイナル初日はこちらの時間で19:30から。日本でも鑑賞しやすい時間帯ですね。日曜日はまた夕方スタートになってしまいますが…。またすごい名演に出会えることを期待しつつ!