電車を待つ間
バッグにいれていた
ハンガンの本を
韓国人聖職者の方にお見せした
“いま読んでいるんです”..というと
出身地が同じだと教えてくれた
ハンガンの出身地は
“光州事件”のあった
光州だった
・・・
中国茶の先生と生徒として出会い
友人になった
福建省出身の彼女は
幼い頃 “文化大革命” の中を
生きたのだと教えてくれた
静謐さを纏う彼女が
丁寧に淹れてくれる中国茶は
どんなお茶よりも
まろやかで美味しい
何故こんな味が出せるのだろうと
何度思ったことか
ともにお茶をいただきながら
彼女がぽつりぽつりと話す
幼少期の記憶
学習の機会が奪われ
貧しく質素な暮らしの中での
お母様との美しい想い出
記憶の奥底を覗き込むように
話される姿が印象的だった
武夷山の断崖絶壁の岩肌に
自生するという
岩茶の香りとともに
いまでもその話しを
時々思い返す
韓国人聖職者も
福建の彼女も
私と同年代
民主化運動や革命のなか
生きることで見えたもの...
平和な日本で育った私には
想像にも及ばないけれど
自分の経験では想い至らない事柄を
教えて頂くことは
お恵み
