その1・2につづき、『就職四季報』に見る女性の就業状況について考えてみたいと思います。
■女性が長く働いている企業とは
結婚、出産、育児がライフサイクルに及ぼす影響の大きい女性にとって、「長く働き続けることができるか」は、就職先を選ぶ上での大きなポイントです。
女性の勤続年数のトップファイブには、このような企業が顔を揃えました。
順位 |
社名 |
URL |
業種名 |
女性勤続年数 |
1 |
YKKグループ |
金属製品 |
23.0 |
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2 |
株式会社不二越 |
機械 |
21.9 |
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3 |
三菱商事株式会社 |
商社・卸売業 |
21.5 |
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3 |
セイコーエプソン株式会社 |
電気・情報機器 |
21.5 |
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5 |
株式会社福井新聞社 |
http://www.fukuishimbun.co.jp/
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新聞 |
21.3 |
2008年時点の女性労働者の平均勤続年数は8.6年(ちなみに男性は13.1年)でしたので、上記の企業ではいかに長く女性が就業しているかが分かります。
一般労働者の平均勤続年数は、「平成20年版 働く女性の実情」の「Ⅰ 働く女性の実情」「第1章平成20年の働く女性の状況」10~27ページをクリックしてください
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0326-1.html
また、女性の既婚率が高い企業は、以下のようになっています。
順位 |
社名 |
URL |
業種名 |
女性既婚率 |
1 |
フランスベッド株式会社 |
|
その他メーカー |
91.3 |
2 |
ジヤトコ株式会社 |
|
自動車・輸送用機器・同関連部品 |
83.3 |
3 |
ユニプレス株式会社 |
|
自動車・輸送用機器・同関連部品 |
81.8 |
4 |
日本電設工業株式会社 |
|
建設 |
77.0 |
5 |
千代田化工建設株式会社 |
建設 |
75.5 |
少し古いデータになりますが、1995年から99年に結婚した女性の結婚前後の就業率は、結婚前には88.5%だったものが、結婚後には65.3%まで低下しています。上記の企業の女性の既婚率は、大変高いことが分かります。
女性の結婚前後の就業状況をまとめた「平成18年版国民生活白書」はこちら
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h18/01_honpen/html/06sh020201.html
※「女性勤続年数」「女性既婚率」の上位に挙げられてた企業は、必ずしも「女性社員数」が多い企業ではありません。このため、わずかな数の女性社員が結婚後も長く働いていることで、数値が高くなっている場合があります
■企業戦略しての人財採用と育成
少子高齢社会に伴う人口減により、企業は優秀な人財の確保競争がますます激しくなります。そこでこれまで活用しきれていなかった、女性の能力を活かす動きが加速化しています。女性を活かすためには、結婚、出産、育児と仕事を両立できる環境が欠かせません。
今回取り上げた「女性採用数」「女性社員比率」「女性勤続年数」「女性既婚率」においては、それぞれ異なる業界、企業が並びました。その背景には、女性人財の活用について、「以前から取り組み、一定の成果を上げている」、「以前から取り組んでいるが、なかなか成果が上がらない」「これから本格的に取り組む」という傾向を見て取ることができるのではないでしょうか。
あなたの会社は「既に女性の多い業界」でしょうか。それとも「女性の採用を増やしていきたい業界」でしょうか。そして自社が採用した女性は、継続して勤務し、活躍しているでしょうか。
同業他社、そして他業界と比較した自社の現状と今後、是非考えてみましょう!